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第34話

中side 「家の人は?」 「今日は両親はどちらも出張中で帰宅しません…」 「兄弟は?お前兄貴がいるだろ?」 「兄は今研究室にこもっています。兄をご存じなのですか?」 「知ってる。俺の後輩だから。霜月 山茶花。そっくりだよな。お前ら」 「そうです」 「サンに連絡するか?」 「いえ。大丈夫。今大詰めだって言ってたから邪魔したくないし…」 「お前は相変わらず気を使いすぎだ。たまには甘えろ。サン寂しがってたぞ。せっかく可愛い弟が出来たのに遊んでくれないって」 「あは…そんなお話をするくらい仲が良いんですね」 「まぁな…あいつは俺の恋人だから」 「え?えーっ!?」 「そんな驚くことか?」 「いや…だって…まさか…兄が」 「顕微鏡ばっかり覗いてるような奴だもんな。そんなの、興味なさそうだし。まぁ、俺がかなり強引に物にしたからな…飯くらい作らせろ」 「そんなことまでしてもらうわけにはいきません」 「そういうな。サンの代わりにお前を甘やかさせろ」 先生がぽんっと頭を撫でる。 送ってもらった手前玄関先で返すのも気が引けて家に入れる。一応兄にはメールだけ送った 兄のことで談笑してたら少しだけ楽になった気がした…このまま先輩に会わなければきっと… そのときインターホンが鳴った。 勝手に入ってくるのは幸だけだ。ドタドタと足音が近付く… 「中っ!」 「な…で…先輩…」 先輩に抱き締められてた… 「おせーよ。雪割。」 「すいません」 「坂本。帰るぞ」 「はい。じゃあね。中」 いきなり二人きりにされてパニクる…どうしよう… 「中…」

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