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第35話

「中…ごめんな…気付けなくて…ごめん…」 「先輩…俺…汚れて…汚くて…俺…だから…離して…先輩…やだ…」 「汚くねぇよ。よく頑張ったな…幸三郎を守りたかったんだろ?お前は友達思いだから…」 「違う…俺…先輩に嫌われたくなくて…だから…俺の勝手だから…だから…離して…先輩が汚れちゃう…」 「嫌うわけないだろ。勝手でもねぇ。それに汚れねぇ」 俺の腕から逃れようと身を捩るけど弱ってるから力が入っていない。 「中…」 抱き締める力を強める。 俺の中にまだこんな気持ちが残っていたなんて… 中がいてくれたから美空の事を過去に出来た…中のバカみたいに熱い視線が…バカみたいに尻尾降って寄ってくる姿が可愛くて…気付けば必要な相手になってた。 まだ付き合うとかそういう気持ちはないけどでも失いたくはないって…心はそう叫んでた… 婚約者の話を聞いて多少心がざわついたけど美空といたことで身につけたポーカーフェイスで何でもないふりしてた… でも、やっぱりどこか穴が開いた気がしたんだ…何て勝手な思い… 中の気持ちには答えられないのに手放したくないなんて身勝手過ぎる… 「中…勝手でごめんね」

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