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第43話

「やっぱり…覚えてないですね。」 「ごめん…」 「いいえ。カッコいいです」 「へ?」 「人一人の命を救ったのにそれをひけらかす訳でもなく今こうして強く生きてる…カッコいいです…やっぱり」 「命を…救った?…」 本当にわからない…そんな記憶… 「あれは俺が中学二年の時でした…」 …美空が葉月先輩と出会って好きになった頃…あの頃は美空に想いを伝えるべきかどうか悩んでいたとき… 葉月先輩とも仲良くなったことでこの人には敵わないとどうにか諦めないとならないと…そう思って色んな奴と寝てた頃だ… 性生活は荒れに荒れて…その日だけの相手がわんさかいた… 「あれは大雨の日で…俺は部活帰りでした。走っていたトレーラーが横転してそのコンテナが落ちてくるのに足が竦んで動けなくて…それを助けてくれたのが先輩でした。そして本気で俺を叱ってくれた…知りもしない俺を…そこからなんです。あのときからずっと…貴方を好きでした」 大雨…トレーラー…事故… 1つだけ思い当たった…セフレと会った帰り…ものすごい音が背後でしたから振り返ったら… 「…あのときのデカイ奴!!中学生だったのか…」 「あははっ…そうなんです」 やたらがたいがよくてその体に似合わず可愛い顔してて…どうみても危険なのにそこに立ち尽くして動けなかった奴がいた。 体が先に動いてたから助けたって自覚もなくて早く帰ってシャワー浴びたくて男の話は入ってこなくて何を言われたのか全く覚えてなくて… 「あのときは助けて頂いてありがとうございました。貴方がいなければ俺はこうしてここに存在していなかった。きちんとお礼が言いたかったんです」 「礼なんていらなかったのに。怪我してなかった?」 「幸い無傷でした。念のため病院でも調べてもらって異常無しでした」 「良かった」 「それで暫くして制服姿の貴方を街中で見掛けて…それでここを受験したんです。敦夢に…あ…えっと…俺をあぁした主犯で…幸の恋人なんですけど…勉強教えてもらって…そして…貴方を見付けた…」 そこまでして俺を追いかけてきた?その強い思いに心が揺さぶられる… うちの高校はこの辺では割とレベルが高めだ。少しの努力ではそう簡単に入れないはず… 中に勉強を教えたことがあるけどあまり勉強は得意ではなくいつも必死だった…それなのに… 「お前…」 「気持ち…悪い…ですよね…」

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