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第54話

中の言葉に膝をつき涙を流す敦夢を見詰める。 中の瞳には確かに光る何かがあって無理してるとかそんなんじゃなくて… 純粋に彼らを思い許したのだ。 「敦夢。幸とのことは二人で話し合ってみて?」 「ありがとう…」 弱々しく呟かれた言葉に心からの笑顔を向けて中は俺の手を握る 「じゃあね。先輩ありがとうございます」 「いや。なぁ。お前たち。次はないと思いなよ。じゃあね」 中の手を引きその場をあとにした。 中を空き教室に連れ込み抱き締める 「中…頑張ったね」 「先輩…俺…間違ってないよね?」 「お前が決めたんだから大丈夫」 「先輩…また不安になったら…こうして抱き締めてくれる?」 「うん」 「これからも会いに来ていい?」 「うん」 「俺のこと…好きになって…」 「…うーん」 「ちぇっ…やっぱ騙されないかぁ」 「その願いは聞けないな。だってもうそうなってるから」 「え?」 「好きだよ。中」 自分を偽ることはやめた。本当は…気付いていたのに…怖くて見ない振りをしてきた。 でも…もう…怖がらない… 「中。キスしていい?」 「…だめです」 「なにそれ。今のは可愛くはいって言うとこでしょ」 「ダメです…ここでされたら俺…止まれなくなっちゃう…もうすぐ昼休み終わっちゃうから…放課後は生徒会でしょ?何時に終わりますか?」 「ん~わかんない。」 「待ってていい?一緒に帰りたい」 「だぁめ」 「えぇ…」 「終わったら…お前の家に行ってもいい?ご両親いる?」 「いえ。今日も帰らないです。」 「…一緒に飯食う?俺作る」 「はい。待ってますね」

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