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第66話
気に食わない…気に食わない!気に食わない!!
中に対しての怒りを胸に秘めながらゆきにはとびきり優しくした…それなのに…
それから数日
「ゆき。ごめん。今日お昼一緒できなくなったちゃった」
今度ある何かの発表会で代表に選ばれたらしい。自分ではそれなりにしか最近は勉強してないんだけれど次席のやつとかなりの差があるらしく…
俺の成績でそれって…この学校レベル落ちたんじゃねぇ?
「そっか…」
寂しそうに俯くゆきの表情に胸が締め付けられて…まだゆきは俺が好きなんだよな…
自分に言い聞かせるようにゆきの小さな頭を撫でる
「ごめんね…一人になっちゃダメだよ。周りは悪い男ばかりなんだからね」
「うん!中と一緒にいる!」
パァーッと笑うゆきに厭らしい視線が絡む…ゆきに手を出したら容赦しねぇ…
にらみを効かせ教室を後にした
「悪いな。昼休みに」
「いえ、大丈夫です」
「こっち。」
連れていかれたのは応接室。大きな座り心地の良さそうなソファーが置いてある。真ん中にはガラスのテーブル。
あまり趣味はよくないな…なんてぼんやりしてた
「そこに掛けて」
「はい」
担任が促す。そして説教が始まる
成績はいいんだからもう少し付き合う奴を考えろとか…髪色変えろだとか…この色素の薄い髪は生まれつきだって言うのに…
「それと。お前坂本と交際しているらしいな。坂本に悪影響だから別れろ。坂本には霜月の方が似合っているだろ」
「は?」
「お前は成績はいいが素行が悪い。坂本は成績もいいし人もいい。あいつとお前は釣り合わない」
「…っざけんな…お前に指図される覚えはねぇよ」
「そういう口の聞き方をどうにかしろ。坂本に迷惑かけたくねぇならな」
「迷惑だと…?」
「お前のせいで坂本には霜月意外友人すら作れないじゃねぇか。霜月の方が似合ってる」
こいつまで…中の方が似合ってる?知らねぇよ。ゆきは俺んだ…
「あんたに何がわかる…ゆきは俺を選んだ。中じゃなくてね」
「だから。お前が脅して無理矢理に付き合わせたんだろ?」
「お前…教師としてその発言はどうなの?」
「じゃないとあんなに可愛い坂本がお前を選ぶわけねぇだろ」
「何?先生…ゆきを狙ってんの?」
「そんなわけあるか」
「動揺しすぎ。でもねゆきは俺を選ぶよ」
生徒だけじゃない…教師でさえ夢中にさせる魅力があるんだ…
「それはどうだろうな。坂本は霜月を選ぶよ」
「だーかーらー!何で中?どいつもこいつもあたるあたるあたる…」
「当然だよ。お前な訳ない。そんなことあってはならない」
「…何言っても一緒だねぇ。この変態教師…」
「お前…」
「話になんない。帰る」
「逃げんのか?」
「何いってんの?時間でしょ?教師の癖に時間管理できないわけ?結局説教で終わりとか。本当に無駄な時間なんだけど。そんなに俺が嫌なら代表なんかに選ばなけりゃいい。他のやつにさせれば?」
「いやっ…それは…」
「俺じゃなく他に時間割いた方がいいんじゃない?」
部屋を後にして教室に戻る。
「お似合いだよねぇ」
「だな。やっぱり婚約者って立場なんだ?中とゆき」
は?意味わからないんだけど…
突如聞こえてきた会話に固まる
「えぇ?でもさぁ。ゆきの恋人って敦夢じゃねぇの?」
「違うんじゃね?実は霜月がいいとこの子で婚約者守るため用心棒として敢えてそういう風に演じさせてるとか?敦夢雇ってるとか?」
「あぁ。あり得るかもなぁ…何かおかしいもんなぁ。敦夢とゆきは似合わない…」
「確かに。中の方がしっくりくる」
…何で…俺とゆきは似合わない?こんなに愛し合ってんのに?
「婚約者って何?」
「敦夢?今日ね中とゆき昼休みに三年のとこ行ってたんだけどそこでゆきが中の婚約者だって話したんだって。高校卒業したら籍入れるんだろ?」
何かが音をたてて崩れる…そんなことあるわけないってわかってるのに…
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