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第75話

これまでの出来事を言葉を詰まらせながら話し終えたゆき。 丁度その時に教師たちがやって来た。保健医と生徒指導の教師だった 俺たちは教師につれられ生徒指導室へ通された。 「…円城寺」 「はい…」 「何があった…?」 「…俺が…全部俺がやりました…すいませんでした。」 どうしてなのか聞かれたからこれまでのことを目の前の教師に話す。 「今回のことは退学案件。わかるよな?揃いも揃って優秀なのに…何やってんだ…」 悔しそうに…苦しそうに呟く教師…なんでも生徒会長の兄と同級生のため古くから生徒会長を知っているらしい。中と会長の関係も勿論知っているのだろう。 今度は永遠に向かって声をかける 「下條。…?…おい下條?」 「中…」 名前を呼ばれたけど永遠の意識はここにはないように視線は空をさ迷っていた 「下條…おい!下條」 教師に肩を強く揺すられやっとこっちを見た永遠の目には涙が浮かんでいた… 「俺…何てこと…俺…好きだったんです…中の事…それなのに…」 「取り敢えず今回のことはお前らの保護者に報告させてもらう。処分はまた霜月と相談した上で決定する。一先ず決定するまでお前らは一週間の停学処分。わかったな」 「はい…」 その後それぞれの両親がやって来て俺たちは自宅へ戻る… 中だけでなく家族まで傷つけた俺たちの罪は重い。おそらくこのまま退学になるのだろう… そう思って部屋のベッドに横になっていた。 今さら後悔しても遅い… どのくらいそうしていたのだろう…気付けば外は夜の帳に包まれて…星1つ無いかのように闇の中だ…部屋の明かりもつけずに時は過ぎていたようだ… 部屋の扉がノックされた 「敦夢」 「…はい」 「敦夢…あんたは何て事…人とは思えないことを…中くんに…」 父が再婚したのはあの時の父のパートナーである錦さんだ。錦さんも勿論中の事を知ってる…ここでずっと一緒に勉強していたのだから…元々口調も女性のような人。錦さんは男性だけど俺は母さんと呼んでいる 「今学校から連絡があって…あなたたちは退学は免れたわ…中くんがね…停学になっただけで十分だと…そう言ったらしいわよ…その後は自分で決めなさい…いいわね…中くんには一生懸けて償いなさい…」 「はい…」 涙を必死で堪えながら母は部屋を出ていった…本当の子供のように接してくれる錦さんにあんな顔をさせてしまった…ごめん…母さん… ふとベッドに置き去りだった携帯を見ると通知のランプが点滅していた。 画面に表示されてるのは… ゆき… 『あーちゃん。気付いたら連絡して』 その後何度も着信がきていた 息を深く吐いて通話ボタンを押す 1コール鳴り終わる前に出たゆきの声… 涙が溢れた…ごめんね…ごめん… 「ゆ…き…ごめ…」 『あーちゃん。あーちゃん…会いたいよ…』 「え…」 『あーちゃん…大好きなんだよ…俺はあーちゃんしか…見てないよ…信じてくれる?』 「ぅん…うん…ごめん…大好きだよ…ゆき」 今回の処分内容をゆきに話した。 『中…らしいね…』 「うん…」 しばらく話をして名残惜しいが通話を終えた… ゆき…大好きって…また…言ってくれた… また涙がこぼれて…気付けば泣き疲れて眠っていた…

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