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第78話

そして昼休み… 他の生徒が寄り付かない旧校舎の一室。たまに用務員が掃除をしているのか手入れは行き届いていた。 俺たちと中が対峙し直後凛とした声が響く 「お待たせ」 声の主は中の姿をとらえすぐ中の隣に行き中の背中を擦る 小刻みに震えていた中の手を握って声を掛けていた。少しずつ震えは収まってきた中に 「中。大丈夫だよ。俺がいるから…」 そう声を掛け中が小さく頷いたのを確認し真ん中にいた俺を見据えた 「先輩…お忙しい中お時間を頂きありがとうございます。申し訳ありません。」 「いや。俺は大丈夫」 「中」 名前を呼んだだけなのにびくりと肩を揺らす中に堪らなくなった…すかさず会長が中の手を取る 「中…ごめん…謝ったことで中の傷を治すことは出来ないんだけど…本当に…ごめん…悪かった…ゆきのことになると…俺…普通でいられなくなって…ごめん…中がゆきのことそんなやらしい目で見ているはずもないとわかっていながら…中とゆきのことをお似合いだと言う周りの言葉に…すごく…腹が立ってしまって…やり過ぎた…ごめん…ごめんな…」 謝罪の言葉をのべ返ってきたのは… 「…敦夢…幸のこと…まだ好きなんでしょ?」 ゆきのことだった… 「…好きだけど…側にいてはいけないな…こんな…最低な…俺なんて…だから…ゆきとは…別れる…これが俺にとっては罰になると…思うから…そして…俺は…退学する…」 本当に驚いたように目を見開く中 「え?…」 「俺がいると…お前の傷は…癒えないだろ…だから…もうお前の前には現れない…お前はそこまでしなくていいといってくれたけど…でもそれじゃあ…あんまりだと…そう…思うから…」 「敦夢。俺に悪いと思うなら…ここにいろよ。この学校に…そして…幸の隣に。ここからいなくなる?幸と別れる?そんなのなんの解決にもならないだろ?俺はお前が好きだしちゃんとわかってた…本当は間違いには早くから気付いていただろ?でもお前は昔から真っ直ぐだから一度始めたら止め方がわからなくなっただけ…お前らもそうだろ?だって敦夢の友達だから…みんな真っ直ぐで嘘がつけなくて…だから…俺は…もっと…お前たちと仲良くなれたら…周りのやつらにもお前らのこと好意的に見てくれたら…そう思ってるんだ…だから…悪いと思うなら…ここにいて?」 想像していなかった言葉に俺たちは揃って口を閉ざした どうして?どうしてそんなことが言える?もっと罵ってもいいのに…もっと怒ってくれてもいいのに…涙が溢れて止まらなくて膝を折った 中の瞳には確かに光る何かがあって無理してるとかそんなんじゃなくて… 純粋に俺たちをを思い許したのだ。 「敦夢。幸とのことは二人で話し合ってみて?」 「ありがとう…」 そう言うと中は心からの笑顔を向けてくれた…中の手を取り会長が踵を返す。 「じゃあね。先輩ありがとうございます」 中が会長にそう言うと会長はこちらを振り返る。 「いや。なぁ。お前たち。次はないと思いなよ。じゃあね」 その瞳にはまだ怒りの炎が燃えていて心の底から恐ろしいと思った 中の手を引く姿をいつまでも見つめていた 「中…幸せそうだった…」 永遠が呟く… 「良かった…中の好きな人があの人で良かった」 ポロポロと泣き出す永遠を豹が抱き締める 「永遠…」 「豹…俺また失恋しちゃった…」 「うん…大丈夫…俺がいるだろ?」 「うん…」 わかった…豹が遊んでた理由…豹もまた恋をしてたんだ…進んではいけない恋…だから…他で紛らわせてた… 「午後は授業出られそうもないから俺は帰るね。」 「俺たちも帰る」 そうして俺たちは帰宅した…明日から…また中と過ごす…他でもないそれが中の望みなら俺たちに断る権利はないのだから…

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