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第33話

ハイジの手が、割れ物にでも触るかの様に僕の脇腹をそっと撫で上げる。 そして僕の背後に火照った肌を重ねたまま、胸の小さな蕾を見つけ、指先で捏ねる様に押し潰す。 ……はぁ、はぁ…… 耳裏に熱い吐息がかかった後、直ぐに肩甲骨に熱が落とされる。 濡れそぼった熱い舌先が、浮き出た肩甲骨の縁を愛おしむ様につうっとなぞる。 そして貪る様に何度も食み、歯を柔く立てる。 「……さくらの体、甘い味がする」 「………」 「スゲェ、たまんねー」 まるで自分のものに塗り替えるかの様に、背骨に沿ってハイジの舌先が丹念に這い上がっていく。 腰は動かしていないにも関わらず、僕の胎内でソレが脈動し硬くなっていく。 「こことか、どんな味がすんのか……舐めてみてぇ」 「……え……」 胸の小さな膨らみを弄ぶ手が、僕の臍を通り下腹部へと撫で下ろされる。 一度果て、萎え縮んだそこをキュッと握られ、浴室でされたようにゆっくりと上下に扱かれる、 「………やだ、…」 「ヤじゃねーよ。………リュウには許したんだろ?!」 ハイジの声色が一変する。 と同時に後頭部を片手で鷲掴みにされ、上から顔面を強く押しつけられる。 顔をベットに沈められたまま、浅く息をした。 「ヤってたんだろ、あの部屋で!」 「………」 「あん時も」 ……あの時…… 多分……竜一の車に乗り、初めてマンションに連れて行かれた時の事だ…… 「言えよ!……さっきみたいに″…いいよ″って」 「………」 「言えっつってんだろ!」 握り潰すように、ハイジの指にギリギリと力が籠められる。 「………、っ」 こんなハイジは知らない…… 溜まり場での生活の間は、ずっと優しかったから…… 「………ああ、クソッ!」 ハイジが上体を起こし、僕の腰を両手で乱暴に掴む。 その指先は……小刻みに震えていた。 ズンッ……と深い所を抉られる。 その奥の奥、内臓までぐちゃぐちゃにするように掻き回される。 「こんなにシてんのに……全然足りねぇ」 ギリギリまで引き抜かれ、一気に突き上げられる。 それを激しく繰り返し、まるで僕を壊すかの様に何度も何度も僕を貫く。 「……足りねぇよ、さくら」 感情の矛先を、性行為に全てぶつけているように感じる。 「……傷付けたくねーのに……クソ……」 「………」 滅茶苦茶だ…… こんな乱暴な事をしながら、何で傷付いた様な声で…… 僕の背中……肩甲骨と肩甲骨の間に手をつき、ハイジが上から押さえつける。 「……この体がリュウに染められたかと思うと……この手でお前を壊してやりたくなっちまう……」 「……!」 ぶるっと体が震える。 ……怖い…… ハイジの豹変が…… その起伏の激しさが…… 堪らずシーツをギュッと掴む。 「………」 ″……いいよ″ そう言ってしまいそうになる。 だけど喉の奥でその言葉がつっかえて、なかなか出てこない……

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