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第65話
ハイジの匂い。
ふわっとそれが纏い、僕の鼻孔を擽る。その刹那、唇に触れる柔らかな熱。
一度柔く離され……直ぐにまた重ねられる。
ピチャ……クチュ……
ハイジの唇が、僕の唇の上も下も甘く食み、柔く吸っては軽く歯を立てて……
「……ん、」
擽ったくて。何だかヘンで。
少しだけ横に顔を傾げれば、逃がすまいかとハイジの唇が追いかけて。
何度も角度を変え、何度もキスを重ねれば……僕の唇が濡れそぼち、やがて身体に劣情を孕んでしまう。
………はぁ、はぁ
その度に漏れる、熱の籠もった吐息。
その音は、やけに大きく……淫靡な水音と共に僕の鼓膜に響く。
重ねられた手のひら。
指先が絡められ……お互いに握り合う。
もう一方のハイジの手が上気する僕の頬に触れ、横髪を撫でるようにして優しく梳かす。
……好き……
上と下の睫毛の毛先が触れ合ったまま、薄く瞼を持ち上げれば……綺麗な白金色の髪と、ハイジの熱く潤んだ瞳がぼんやりと視界に映る。
……好きだよ……ハイジ……
しっとりと見つめた後、再び瞼を閉じる。そして歯列の門戸を少しだけ開ければ、待ち構えていたかのようにハイジの舌先が咥内に滑り込む。
「………っん、」
奥に潜む僕の舌先を見つけ、直ぐに追い掛け絡めてくるハイジの熱い舌。
そこからハイジの愛液が伝って流れ落ち、僕のと混ざり溶け合って、溢れていく……
………はぁ……あ……
ふ、……ぅん……
……ん……っはぁ、……
熱い吐息が、もう何方のものか解らないほど混ざり合う。
合わせた手のひら。その隙間が次第に湿気を帯び、熱が籠もっていく。
「……ヤベ……」
唇を離した後、唐突にハイジが小さく呻く。
「これ以上したら、……シたくなっちまう」
熱い息を吐き、堪える様に片目を薄く瞑る。
「……」
重ねたハイジの身体。その中心部が硬くなり、主張するように僕の下腹部に当たっている。
「し、シねぇ!……ヤんねぇって……!」
慌てた様子でハイジがそう言い放つ。顔を真っ赤にして。沢山視線を泳がせて。
「ただ……」
唇を少しだけ尖らせたハイジが、僕ではない何処かに視線を定め、静かに口を開く。
「さくらとキスなんて、もう何度もしてんのに……なんつーか、いま初めてしたみてェで。
……心が一つになる、っつーの……?」
「……!!」
ハイジの言葉に驚いて、僕は真っ直ぐハイジを見つめる。
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