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第66話
まだ繋がったままの手を、ギュッと握る。
「……ハイジ……」
僕もさっき、そう思ってたよ。
もう何度もしてるのに、初めてしたみたいに感じて……
優しくて。ふんわりと柔らかくて。
あたたかいこの雰囲気に……もっと包まれていたい。
「もっと、して……」
もっと、ハイジを感じたい。
離れたくない……
ずっとこうして……抱き合って、イチャイチャしていたい……
「止まんなくなンぞ」
「……うん」
「いいのか?」
「……ん、どうしよう……」
「なんだよソレ」
少し呆れたように笑ったハイジが、僕の睫毛に引っ掛かり、瞬きの邪魔になっている細い毛束をそっと摘まんで退かす。
そして、ついでとばかりに、僕の前髪を手櫛で丁寧に搔き上げる。
「……」
ただ、それだけで……僕の心は甘く切なく痺れ、蕩けた瞳をハイジに向ける。
「離れたく、ない……」
もう一度、ハイジの手を握る。
そうすれば、ハイジが口角を緩く持ち上げ、僕に優しい眼を返してくれる。
「……じゃあ、服……脱がすぞ」
「ん……」
答えた僕の唇に、チュッと軽くキスをする。
布擦れの音。
と共に……両腕を上げた僕から、簡単に服が脱がされていく。
開けた胸元。素肌を曝け出したまま、ぼんやりとハイジを見つめる。
恥ずかしいのに。こんな大胆にしていられるのは……部屋の中が薄暗いせいもあるかもしれない。
僕の腰上に跨いだまま両膝を付いて立ったハイジが、自身の裾を捲り上げて服を脱ぎ捨てる。
瞬間……サラサラと綺麗な白金の髪が揺れ、射し込まれた月明かりに溶け込む。
少し筋肉質な身体。
同じ年齢とは思えない程逞しくて、男らしい。
肩に彫られた蝶と桜。
それが蒼白い光の中に浮かび上がる。
「……綺麗だな」
僕の胸元に、ハイジの指が当てられる。
感触を確かめるように撫で、柔肌の上を滑らせる。
……綺麗なのは、ハイジの方だよ……
そっと手を伸ばし、彫り物のあるハイジの二の腕に触れる。
「あんま、煽んなよ」
少し照れたように言い、ハイジがゆっくりと肌を重ねた。
頬、顎先、鎖骨……
ハイジの熱い唇が順に押し当てられ、やがてその下にあるぷっくりと膨らんだ、桜色の蕾に到達する。
掠められた瞬間、ピクんっと身体が小さく跳ねる。
「………!」
驚いたハイジが、僕に顔を向ける。
「感じた、のか……?」
「………」
僕の肘の内側を掴んだハイジの手が、そのまま滑り上がって手のひらを握る。
返答しない僕を見ながら、ハイジが意地悪く乳首を指で摘まんだ。
「………、ばか」
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