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第67話

恥ずかしくて。視線を外しながら、空いてる方の腕で目元を覆う。 と、ハイジの手が僕の顔の横につき、その腕に柔く唇を押し当てられる。 「……隠すなよ」 「……」 「恥ずかしがンなって……」 そっと腕を取られ、簡単に外されて……視界に映ったハイジの優しい瞳と目が合う。 「カンじてるさくらの顔………もっと、見せろよ……」 掴まれたまま、その腕がゆっくりと導かれ………斜め横を向いたハイジの唇に、その指先が当てられる。 「……」 薄く瞼を閉じたハイジが、僕のその指先を柔く食んで、甘く噛んで………優しく舌先で転がすように、愛撫を繰り返す。 その姿が何だか綺麗で。色っぽくて。……恥ずかしくて。 堪えきれず、顔を横に傾げて視界からハイジを追い出す。 「……ん」 ハイジの熱い吐息が、ベールのように胸元の肌を柔く纏う。 その度に、じりじりと甘い痺れが広がり、身体の深部に熱が作られていく。 鎖骨の窪みに当てられる、ハイジの濡れそぼつ舌先。浮き出た骨に沿ってなぞられれば、身体の芯が揺さぶられる程ゾクゾクし、快感が走り抜けていく。 それに翻弄されていれば、脇に近い所に唇を押し当てられ、ぢゅッと強く吸われる。 ピリッとした、小さな痛み。 ………痕……付けたんだ…… そう思ったら、また恥ずかしさが込み上げてきて……先程作られた身体の深部の熱が、次第にマグマの如く噴き上がっていく。 はぁ、はぁ── 唇から吐き出される熱い息。ピクリと痙攣する指先。 去年の夏──初めてハイジと身体を重ねた時、首筋や胸元、背中にまでキスマークを付けられてしまって。 特に首筋に付いた鬱血痕(あと)は、制服の衿の中に収まり切らなくて。隠しようがなく、曝した(その)まま学校に行ったんだっけ…… ひとつ……またひとつ、と…… 印を刻まれる度に、僕がハイジのものになっていく。 ハイジのサラサラとした毛先が、僕の柔肌を擽り……その度に、痺れる程に身体が震えてしまって…… 堪えてないと、声が溢れ出てしまいそうで……… 「………っ、」 ……ヘン、だ。 胸を突き破ってしまうんじゃないかってくらい、心臓が激しく暴れ回って。 身体は、トロトロとした甘い蜂蜜の沼に沈められて……… 蕩けて……力が入らなくて…… 「……ゃ、」 気付けば、ハイジの舌先が下腹部の方へと差し掛かっていた。

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