67 / 558
第67話
恥ずかしくて。視線を外しながら、空いてる方の腕で目元を覆う。
と、ハイジの手が僕の顔の横につき、その腕に柔く唇を押し当てられる。
「……隠すなよ」
「……」
「恥ずかしがンなって……」
そっと腕を取られ、簡単に外されて……視界に映ったハイジの優しい瞳と目が合う。
「カンじてるさくらの顔………もっと、見せろよ……」
掴まれたまま、その腕がゆっくりと導かれ………斜め横を向いたハイジの唇に、その指先が当てられる。
「……」
薄く瞼を閉じたハイジが、僕のその指先を柔く食んで、甘く噛んで………優しく舌先で転がすように、愛撫を繰り返す。
その姿が何だか綺麗で。色っぽくて。……恥ずかしくて。
堪えきれず、顔を横に傾げて視界からハイジを追い出す。
「……ん」
ハイジの熱い吐息が、ベールのように胸元の肌を柔く纏う。
その度に、じりじりと甘い痺れが広がり、身体の深部に熱が作られていく。
鎖骨の窪みに当てられる、ハイジの濡れそぼつ舌先。浮き出た骨に沿ってなぞられれば、身体の芯が揺さぶられる程ゾクゾクし、快感が走り抜けていく。
それに翻弄されていれば、脇に近い所に唇を押し当てられ、ぢゅッと強く吸われる。
ピリッとした、小さな痛み。
………痕……付けたんだ……
そう思ったら、また恥ずかしさが込み上げてきて……先程作られた身体の深部の熱が、次第にマグマの如く噴き上がっていく。
はぁ、はぁ──
唇から吐き出される熱い息。ピクリと痙攣する指先。
去年の夏──初めてハイジと身体を重ねた時、首筋や胸元、背中にまでキスマークを付けられてしまって。
特に首筋に付いた鬱血痕 は、制服の衿の中に収まり切らなくて。隠しようがなく、曝した まま学校に行ったんだっけ……
ひとつ……またひとつ、と……
印を刻まれる度に、僕がハイジのものになっていく。
ハイジのサラサラとした毛先が、僕の柔肌を擽り……その度に、痺れる程に身体が震えてしまって……
堪えてないと、声が溢れ出てしまいそうで………
「………っ、」
……ヘン、だ。
胸を突き破ってしまうんじゃないかってくらい、心臓が激しく暴れ回って。
身体は、トロトロとした甘い蜂蜜の沼に沈められて………
蕩けて……力が入らなくて……
「……ゃ、」
気付けば、ハイジの舌先が下腹部の方へと差し掛かっていた。
ともだちにシェアしよう!