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第97話

ぶるぶるぶるっ…… 痺れるような寒気に襲われ、身体の深部が凍結していく。 触れ合ってる場所も、吐息も、こんなに熱いのに。 「もっとオレで、感じろよ──」 耳元で響かれる甘い声。 ハイジの腰の動きが速くなり、淫靡な水音と肌のぶつかる生々しい音が響く。 「………あぁ″、……ッ、ぁ、はぁあ″ぁ……んぅ″ッ……、」 ……なんか、ヘン…… ナカを擦られる度に、身体から力が抜けていくのに…… 自分から、腰を振ってるなんて…… 「………あぁ″ッ……!」 ドミノ倒しの如く、足元から駆け上ってくるゾクゾク感。 この感じ……何処かで…… よく解らないまま……必死で記憶の糸を手繰り寄せ、摑もうとする。……けど、いとも簡単に手中をすり抜け、風の前の塵の如く消え去ってしまう─── 「……っ、」 不安になって、更に強くハイジの背中にしがみつく。 「……ハァ……すげ、……ハァ、はぁ、はぁ……ッ、」 薄く瞼を開ければ、視界に映ったのは……感じているハイジの顔。その色っぽい瞳が、僕を愛おしげに見下ろしていて…… 「……さくら……」 余裕のない声。表情。 僕の名を愛おしそうに囁いた後、僕の耳元に唇を寄せる。 「……愛してる……」 熱い吐息と共に囁かれ、それに煽られるようにナカがうねる。 ハイジのモノを貪って、吸い付いて……もっともっとと離さない。 「はぁ……ヤベ。……イ、く……ぅ、うッ………!」 一層激しく腰を打ち付けられ、身体が激しく揺さぶられた瞬間── ───ドク、ドクンッ、 先端が更に伸び、戦慄きながら僕のナカに温かな精液が注ぎ込まれる。 「……ハァ……凄ぇ、はぁ……最高」 乱れた吐息。 抱き掬われ、胸と胸が重なる。 ハイジの熱い身体。 あたたかく優しい温もり。 こんなにも、愛してくれたのに…… 僕は───イけなかった。 初めてハイジと身体を重ねた時みたいに……いや、それ以上に身体は感じていたのに。 何かを思い出しかけてから、胸の奥が握り潰されてしまう程の不安が襲ってしまって…… 「……」

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