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第96話

痺れるような寒気。 体の芯から、氷結していく…… 体の表面は……こんなに熱いのに……何で……? 「もっとオレで、感じろよ」 抽挿が早くなり、クチュクチュと淫靡な水音と肌のぶつかる音が響く。 「……あぁ、……っ、ぁ、ぁ″……ぅン……、」 ヘンだ…… 自分からも、腰を振って。 「……ぅ、ぅ″ ンン……、」 足元からドミノ倒しの様に駆け上がってくる……ゾクゾク感。 この感じ……何処かで…… 「……はぁ、っ………!」 解らないまま、それを必死で何とか摑もうとする。 ……けど、手中をすり抜け……直ぐに何処か遠くへと消えてしまって……… 不安になって、ハイジにしがみつく。 「……ハァ……すげ、……ハァ、はぁ、はぁァ……」 薄く瞼を開ければ、視界に映るのは、感じているハイジの顔。 その色っぽい瞳が、僕を愛おしげに見下ろしていて。 「……愛して……る……」 余裕のない声。顔つき。 僕の首元に顔を埋め、耳元でもう一度囁くと……腰を一層激しく打ち付け、淫らで熱い息を吐いた。 「はぁ……ヤベ。……イ、く……ぅ、う″……」 「……ぁ、ぁ……っ」 それに煽られるように、僕のナカも戦慄いて。 体は……官能を求めてる。 ハイジのモノを貪って、吸い付いて、もっとと離さない。 ……だけど…… グッと腰を強く押し付けられた後、ハイジの怒張がグンと伸び、ビクビクッと脈動して……精液が僕のナカに奔出される。 「……ハァ……凄ぇ、はぁ……最高」 乱れた吐息。 抱き掬われ、胸と胸が重なる。 ハイジの熱い体…… あたたかな温もり…… 「………」 僕は……いかなかった。 初めてハイジと体を重ねた時みたいに それ以上に ……感じたのに…… 何かを思い出しかけてから、胸中が押し潰されてしまいそうな程の不安が襲ってしまって…… 息を切らしたハイジが、背中を反らせて身を起こす。 僕が潰れてしまわないように……だと思う。 感極まった表情を浮かべ、僕の横髪をそっと撫で梳く。次いで包むように掌を頬に当て、愛おしむ様に瞳が緩み、口角を少し上げた。 「……早く、さくらと二人暮らし……してぇな。 堅気の仕事して、生計立てて。 毎日さくらの手料理食って。抱き合って、キスして、セックスもして…… さくらと、幸せになりてぇ」 ……ハイジ 胸の奥が、ギュッと締め付けられる。 僕で……僕がいる事で、ハイジが幸せになるなら………嬉しい。 瞬きをひとつ、ゆっくりとすれば……目尻から一粒の熱い涙が零れ落ちる。 それに気付いたハイジが、親指の腹で拭い取ってくれる。 「……泣くなよ」 「……」 「あぁ、マジで可愛いな……さくらは」 穏やかな瞳の光が揺れ、僕を優しく包み込む。

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