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第104話

……シャラッ、 黒革の首輪の鎖が、小さく揺れる。 その微かな音を消すように、片手でそっと握り締める。 「………」 この首輪の下にある、ハイジに付けられた圧迫痕。 その形通りに強く締め付けられ、息苦しさと眩暈に襲われる。 「……さくら」 「──!」 ビクッと大きく震える身体。 「帰ンぞ」 肩に手を置かれ、ゆっくりと振り返る。 「………」 ……そうだ。 僕はもう……ハイジのもの、だ…… 白金の髪が揺れ、威圧感がありながらも、何処か熱の籠もった双眸が僕を射抜く。 「……うん」 先程とは違う心臓の鼓動。 ドクドクと激しく鼓動し、媚薬を飲まされた時のように、頭がクラクラする。 喉が渇き、瞳は潤み、蕩けた表情をしてしまっているのが自分でも解る。 絡まる視線。 もう、ハイジから……目が離せない。 「……今日は、さくらに挿れてェ」 「………」 顔を近付けたハイジが、耳元に唇を寄せ、熱っぽく囁く。 ただ、それだけなのに。胸の奥がキュッと締め付けられ……下肢が疼く。 まだ完治していない為、ここ暫くはキスや愛撫だけで……あの日以降、本番行為は避けていた。 こくん、と小さく頭を縦に揺らせば、間近で僕を見つめるハイジの瞳が優しげに緩む。 「………」 ……ハイジ……好きだよ。 好き…… ハイジの全てが、好き…… だから……僕を、ハイジの好きに、して……… 小さく震える指先。 左手を右手でキュッと摑むと、蕩けた瞳を向けながら、出口に向かうハイジの後を追った。 * 「……そろそろ、さくらをクラブに卸せと指示が出た」 ベッドに仰向けに倒され、顔の横に両手を付いて見下ろすハイジの口が動く。 「もう……限界だ。 資金はまだ、充分集まってねェけど……」 潤んだ瞳のまま、ハイジが僕に口づけをする。柔く触れた後、僕の唇をこじ開け……熱い舌が半ば強引に侵入してくる。 ……もうすぐ、だ…… もうすぐ僕は、ハイジと……何処か遠くへ……… ハイジの舌が僕のそれに絡まり、吸い上げられ……キスが深くなっていく。 掴んだ肘の内側から手首の方へと滑り上げながら、僕の手のひらを見つける。 指の間に指を絡められ、どちらからともなく柔く握る。

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