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第112話

「……触ンじゃねぇ!」 顔で払い、怒号を飛ばす。 僕の首に掛けていた手を外し、手錠の鎖部分を摑んで僕の頭上に叩きつけ、シーツに皺を作る。 「………聞いたぜ。この耳で。 さくらがリュウとまぐわって、アンアン喘いでンのをよ」 「………!」 ……え…… 瞬間、頭が真っ白になる。 「ネットに上がってンのを見つけたとかで……お節介野郎が、わざわざオレに教えに来てよ」 ……ネット…… グラリ、と視界が大きく揺れる。 乱れる呼吸。ドクドクと耳奥から聞こえる脈動が、僕から現実を引き剥がそうと激しく鳴り響く。 竜一に抱かれて、嬌声を上げたのは………多分、あの一回だけ。 竜一と最後に会った、ガス点検日の……前日── 『……君の喘ぐ声、聞いたよ。……ハァハァ……凄く厭らしくて、聴いてて堪らなかった……ハァハァハァ……』 ──まさか、あのガス会社の作業員が、盗聴したデータをネットに………? ゾクッ、と背筋が凍る。 「オレは、今までどんな噂を聞いても、さくらをずっと信じてきたんだぜ。 ………バカみてぇにな」 ハイジの黒い瞳が、何度も小さく揺れる。 その度に……深くて暗い瞳の奥に、憂いという感情が静かに滲んでいく。 僕の両手をベッドに深く沈めながら、割り開かれた下肢の間にハイジの身体か入り込む。 僕のモノを握っていた手が離され、その手で僕の膝裏を押し上げる。 「凄ぇムカついたぜ。あんなの聞かされた時は。 嫉妬で気が狂いそうで………その辺の野郎をとっ捕まえて、殴り殺してやりてぇ衝動に何度も駆られたよ。 でもその度に、さくらの悲しむ顔がチラついて……何度も何度も必死に抑えて………よォ」 「………っ、!」 ズンッ、、 凶器にも似たハイジのソレが、慣らされていない後孔を無理矢理こじ開け、根元まで一気に捩じ込む。 メリメリメリ……と裂ける感覚。 その痛さを逃せぬまま、容赦なく開始される抽送(ピストン)。 「……ぃ″、あぁっッ……、」 内臓を抉られるような、鈍い痛みに吐き気が襲う。 動く度に入り口が切れ、痛みと恐怖で腰が引け──苦しくて、苦しくて……息が止まりそうになる。 「蕩けたような目ぇして、オレに縋ってくるさくらを見て…… 疑ったらコイツに悪ぃって。思い直したりもしたのによ。 ……なのに、何だよ。 全部、本当の事だったのかよ──」

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