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第111話

早くなるピストン。 律動に圧され、同じリズムで漏れる浅い呼吸。 「…ぁ、あ″、…ぁん、あっ、………」 途中、グイと膝を胸の方へと寄せられ、後孔が上向き、更に奥へと突き立てられる。 「……う″ぅ、ぁぁ、あ、……ぁあっ、!……」 串刺しにされる内臓。 圧迫される下腹。 ゾワゾワと寒気がし、危険信号を発しながら震える躰。 痛みに堪えきれず……濡れた睫毛の上下をギュッと強く重ね合わせた──その時だった。 ガッッ、 「……目ぇ瞑ンじゃねーよ」 容赦のないハイジの頭突き。 顔の中心が鈍く濡れ広がる。 鼻奥から生暖かなものがじわりと溢れ、喉奥へとゆっくり下りてくる。 ……血…… 錆びた鉄の臭いと味がして、初めてこれが鼻血だと気付いた。 ぐちゃぐちゃの顔。 多分、凄く酷い顔をしてる。 イラマチオされる前から、既に殴る蹴るを繰り返されていて…… 折れていないものの、体を動かされる度に、骨が軋んで痛くて。 頬や唇は、痛みの熱が伴って、腫れぼったくなっているのが感覚で解る。 「オレの目ぇ見ろ。 今、お前をヤってんのは誰だ。……言え」 「……ぅ、っう、あ″、……は、ァ………ハイ、ジぃ……、」 「聞こえねぇよ!」 「……っはぁ、……ハイジ……っ、んぅ″……」 パンッパンッパンッ、…… 激しく肉を打ち付ける音。 それと共に響く、クチュッ、クチュッ…、という淫らな水音。 「……ぅンぅ″、……ぁあ……ん″っ……」 痛みを逃す為に漏れてしまう声は、欲情を与えるものなんかではない筈なのに 何処か艶やかに響いてしまうのは……どうしてだろう…… ギシ、ギシ、ギシ、…… ベッドが厭らしく軋む音を立てて煽り、この状況がプレイの一環である事を主張する。 「……はぁァ、……んンゥッッ、」 ハイジの口から漏れる、低い呻きと熱い吐息。 僕のナカで脈動し、張り詰めていくハイジの剛直。 優しさなんて、ない。 その切っ先は鋭く、僕を内側から何度も何度も切り刻み、傷つけるだけ…… ……でも、ハイジの心を傷つけたのは……僕だ………

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