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第114話
向かい合わせに座る。
まだハイジのが僕のナカに挿ったままで。
「……」
もう、そういう事はしないのか。一向に動く気配はない。
落ち着かなくて、不安で。
おずおずと口を開く。
「……ハイ、ジ……?」
「暫く、このまま───」
僅かに動いた衝撃だろうか。
それとも、ナカで刺激があったのだろうか。
少し緩んでいたハイジのモノが、また熱を集め、ビクンと脈動し、張り詰めていく。
小さく呻き、肩がぶるっと震えた後、
……口角を少し上げ、僕の頬を片手で包み込む。
「………さくらと繋がっててぇ……」
熱を伴い、腫れぼったくなっている僕の頬。
そこをハイジの親指が滑り、既に乾き始めて粘着を帯びた涙を攫う。
もう片方の手が背中に回り、力強く引き寄せられると共に、視界いっぱいに近付くハイジの唇。
「………」
閉じた瞼。
その目尻に、熱が当てられる。
……震えて……る……?
ハイジの唇が、指先が、僕に触れている全てのものが……
「……さくらが心の中で誰を想おうと、咎めたりしねぇから。今は。
……だから……オレから、離れようとすんな。絶対」
寂しそうな瞳。
雨の中、道端に捨てられ濡れた仔猫の様な、弱々しい瞳。
その頭を、よしよしと撫でてあげたくなる。
大丈夫、僕がついてるから……と抱き締めて、安心させたくなる。
ハイジの好きにして……って伝えて、僕の全てを委ねたくなってしまう。
……でも、それじゃ……駄目、なんだ……
「……泣くなよ」
苦しそうな声を上げるハイジ。
スッと唇を寄せ、チラリと見せた舌先でその涙を掬う。
「そのままのさくらで、いいからさ。
オレの傍にいてくれ。
……一緒に、逃げよう。……な?」
頬に触れていた手が後頭部へと回り、ギュッと抱き締められる。
「……」
小さく、頭を横に振った。
しかし、すぐにハイジの手に力が加わり、強くギュッと抱き締められる。
まるでそれを、無かった事にするかのように……
「………何で、だよ……」
耳元で小さく呻く。
苦しそうに。
熱いものが落ち、僕の肩口を濡らす。
それがハイジの涙だと、直ぐには気付かなかった───
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