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第122話
竜一なら、モルを敵対する組織になんか渡さない気がするけど……
もしかして、潜入してるとか……?
凌さんの時みたいに。
「……」
「……姫、シャワー浴びますか?」
モルが近付いて、僕を痛々しげに見下ろす。
「それとも、濡れタオルで体を……」
「……モル」
モルの言葉を遮る。
真っ直ぐモルを見上げれば、モルの瞳が小さく揺れた。
ハイジは、確か……大友組の狂犬って言われてた。
モルと同じ……大友組……
……まさかとは思うけど……
ハイジの言ってた、元チームメイトのお節介野郎って……
「……な、何スか?」
「僕の事、ハイジに言った……?」
「え?」
驚いたモルが、真っ直ぐな瞳で聞き返す。
「……竜一のオンナ、だって事……」
「まさか。んな事言ったらヤベェ事になることぐらい、解ってますって!」
眉尻を下げ、モルが声を上げた。
「姫自身も危険かもしれないッスけど、俺や周りの奴らは……その腹いせに殴り殺されるかもしれないんスから」
モルが正論を言う。
……確かにモルが、そんな事をする筈がない。
「今のハイジは、チームやってた頃のハイジとは全然違うんスよ。
組織が分裂した頃に再会したんスけど……その時にはもう、組織の狂犬って言われてる程、ドス黒いオーラ放ってたッスから」
「……」
再会した時の事を思い出す。
何の躊躇もなく、ボルトグリッパーで作業員の頭をフルスイングしたハイジ。
確かに別人のように変わってはいたけれど、以前と変わらない、優しいハイジも存在してたよ……
モルから視線を外し、俯いた。
「………聞いたんスよ。
龍成さん……あっ、ハイジの恩人で、大友組の若頭補佐やってる方なんスけど。
その龍成さんから……父親と再会してから、ハイジは変わったんだって」
「……!」
……ハイジの、父親……
″ 母親をレイプした男のDNAが、オレの体内で暴れ回ってんのかな……って、思うんだよ ″
ドクンッと胸を打った。
「そのハイジの父親なんスけど。
……コンクリ詰め事件って……姫、知ってますか?」
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