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第125話

「……思い出したんだよ。 お前、俺と山本がアゲハの部屋に行った時、茶ァ出してたよな?」 「……!」 もしかして アゲハの、友達……?! ″ 会ったことあるかな?……山本くんと辻田くんも一緒に連んで、ここに来ていたんだよ ″ 化学教師……浅間の優しげな声が、ふと思い出される。 「……辻田、龍成……」 「おぅ、何だ」 その名前を口にすれば、再び龍成の口角が片方だけ吊り上がる。 「姫。……龍さんと……知り合いだったんスか……?」 「……」 龍成から目を外さずにいると モルが戸惑いながら小声で囁く。 その様子がおかしかったのだろうか。 龍成は指で顎を弄りながらニヤリと笑った。 「龍さん……っ、!」 その時、スカジャンを着た金髪の男が部屋に飛び込んだ。 龍成の傍に駆け寄り、腰を落として何やら耳打ちする。 「……そうか」 スカジャンの男に視線を向け、龍成がニヤリと口元を歪めた。 「ハイジを探し出して、始末しろ」 「……!」 その声は、言葉は……僕とモルの耳に確実に届いた。 「……」 「……ま、待って下さい。 なんで、ハイジを……!」 睨むだけで精一杯の僕に代わり、モルが少しだけ身を乗り上げ龍成に食い付く。 だけど、その手が少しだけ震えていた。 「噛み付いたんだよ。……この俺にな」 龍成は、スカジャン男の手から何かを奪うと此方に投げて寄越した。 僕の太腿辺りにパサリ、と何かが落ちる。 それに視線を落とせば 目に映ったのは…… 「……マジ……っすか……」 小さな袋に入った、乾燥大麻。 「それと、さくら。 お前、ハイジに寵愛されて、卸されてなくて良かったな。 ……その件に関しては、俺もハイジに感謝してるよ」 スカジャン男を片手で払い、ベッドから腰を上げる。 「実は最近、昔世話んなった人から、『工藤若葉に会わせろ』『抱かせろ』って……しつこく言われててね。 ……代わりに会って、抱かれてきてくんねぇ……?」 「……」 「お前、若葉の息子なんだろ?」

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