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第281話
……どうして……
「………っん、!」
手首を取られ、ベッドに縫い付けられる間もなく、唇を塞がれる。
くちゅ……ちゅ……
………はぁ、……っん、……
性急に捩じ込まれる舌。
咥内を弄られ絡められながら、片手でシャツの裾を乱雑に捲り上げられる。
侵入した指先。それが脇腹辺りの素肌を厭らしく這いずり回った後、ピンと立つ小さな乳首へと向かって滑り上がる。容赦なくそれを摘ままれ、引っ張られ、爪先で弾かれれば──無理矢理快楽を引き出されてしまい、身体が勝手に熱く火照っていく。
指先が痺れ……こんなにも、心は冷えて震えているのに……
……どう、して……こんな事……
モル……が……
『……すいません、姫』『すいませんッス……』──吉岡に見せられた動画が思い出され、頭の中で勝手に映像が再生され……僕に追い打ちをかける。
──違う……
モルは、こんな事……しない………
そう否定し、この現実から逃れようとするものの……絶望ばかりが広がっていき、じわじわと心を蝕んでいく。
「………モ、ル……」
やっとの思いで、喉奥から声を絞り出す。
両手を握り締め、抗おうとするものの……やっぱり力では敵わなくて。
「……」
全てを諦め、受け入れる。
どっちにしても、もう………それしか他に、道は無いから……
はぁ、はぁ……
ゆっくりと唇が離され、鼻先が触れる程の距離で見下ろされる。
ぼやける視界の中でその瞳を捉えれば、放ったばかりの肉茎が僕の腸内 でムクムクと成長し、膨張しながら硬さを取り戻していく。
……はぁ、ふぅ……
ぐちゅっ、グチュッ……
小刻みに腰を揺らし、やがて始まる高速ピストン。
ナカから溢れ出た精液が、潤滑油代わりとなって卑猥な音を立てる。
………ふぅ、っは、……は、はぁ、
パンパンパンッ、
容赦なく中を突かれ、ゆさゆさと視界が揺さぶられる。
──同じ、だ……
太一らにレイプされた、あの時と……
力尽くで押さえつけられ、玩具のように扱われ、人としての尊厳を剥奪されて──
僕の精神を蝕み、内側から破壊されていく。
力無く瞬きをし、溜まっていた涙を切り落とす。
僅かに滲んだ視界の先に見えたのは──今まで見た事のない、顔──
──え
モル、じゃない……
よく似ているけど、……違う……
二重の大きな瞳。
肩まである、細くて赤い髪。
特徴こそモルそのものだけど……
違う──全然、違う……
「………っ!」
──ズンッ、
掴んだ僕の足首を高く持ち上げ、腰を打ちつけながら男が上体を起こす。
口元を僅かに歪めながらナカを掻き混ぜ、更に奥へと深く強く突き上げる。
……ふぅ、ふぅ、
奇妙な息遣い。
瞳は何処か虚ろげながら、熱情はしっかりと孕んで輝いて見える。
「……、んん″ぅ……」
内臓を圧し上げられ、串刺しにされるような鈍痛が脳天まで響く。
と同時に、腹の奥から迫り上がってくる何か。
それが一体何なのか……解らない。
絶望に打ちひしがれる中──全身に寒気が走り、震えが……止まらない……
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