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第314話

それでも──八雲と吉岡の繋がりは解った。 だけど、どうして吉岡は八雲に協力する気になったんだろう…… 性欲モンスターに僕を宛ったら面白い、とか思ったんだろうか。 八雲の目的が寛司殺害だとしたら──『次の目的』は、恐らく吉岡? 僕を性の捌け口として、また誰かの所に送りつけようとでもしているのか。 「……」 きっと僕は、死ぬまでこの負のループから逃れられないのかもしれない。……このまま、吉岡に囚われている限り。 吉岡の手のひらで転がされ、勝手に振り回されるんだ。 ……だったら、逃げなくちゃ。 また誰かのオンナにされる前に…… しん、と静まり返った部屋。 辺りを見回せば、見張りに立てている人影は見当たらない。 この、左腕に刺さってる針を抜き、自力で部屋を出て行けばいい。 ……ふぅ、 ゆっくりと、大きく深呼吸をひとつして、まだ痺れている右手を動かす。 掛け布団の上──僕の腹の上をゆっくりと通り、左腕の内側を指先で触れてみる。 そこにあるだろう包帯の巻き終わりを探り、止められたテープの端を爪先で剥がす。 ……でも…… 「……」 不安に駆られ、心にぼっかりと空く穴。 そこから広がっていく、深い闇、闇、闇──。 ここを上手く抜け出せた所で、僕に行く宛なんてあるんだろうか。 唯一頼りにしていた麗夜には、見事に裏切られてしまった。アゲハの居場所なんて、きっと知らない。ホスト仲間だったというのも、連絡を取りあっているというのも、恐らく嘘で。僕を誘き寄せる為の、只の撒き餌── 「……」 じゃあ、アゲハは今……何処にいるんだろう。 龍成が情報の取引をする位だから、本当に行方不明なんだろう。 もしかして──僕のように誰かに囚われてる……? 「──!」 ふと何かを感じ、天井へと視線を向ける。 とそこには、赤いランプが点滅する、剥き出しの大きな防犯カメラ。 隠すつもりのないそのレンズが、僕の全容を映し出そうと向けられていた。

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