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第361話

「──っ、あぁ″……、」 容赦のない抽送。 最奥を突かれる度に、ナカの恥肉がうねり、硬くて芯のあるソレを離すまいかと、キュうぅッと締め付ける。 擦れる度に内側から沸き上がる、甘い快感。 吐き出す息は、次第に熱を帯び……もっと欲しいと、勝手に腰が揺れてしまう。 嫌だ…… こんなの、違う。 違う。 僕じゃ、ない──怖い。 ……怖い。 その刹那、足元の床がぐにゃりと歪み、底のない暗闇へと変貌し、そこから無数に伸びてくる、黒い手、手、手── 「……!」 僕の足首を、太股を、腰を、腕を……離すまいかと強く掴み、暗闇へと引き摺り込もうとする。 や…… ………ゃめ、…… 「────っ!!」 突然、背後の闇から肩を掴まれ、ビクンッと大きく跳ね上がる。 バッと顔を上げ、瞬きも忘れて目を凝らせば…… カウンターチェアに腰を掛け、今までテーブルに顔を伏せていた事に気付く。 「……」 窓から差し込まれる、明るい陽射し。 静かな室内。 さっきまでのは………夢……? 次第に帯びてくる、現実。 掴まれただろう各所から、広がる痺れ。 何で、あんな夢なんか……… 信じたくなんてない。 僕が本当は、セックス無しじゃ生きられない……淫乱だって…… ……けど、夢の中で言われた通り、僕の潜在意識の中にある淋しさや願望が、夢となって現れたのだとしたら…… 「……」 カウンターに肘を付いたまま、こめかみ辺りを押さえて目を瞑る。 大きく溜め息をつき、身体を起こした瞬間──肩から何かが滑り落ちていくのに気付き、手を伸ばす。 ………ケット? 咄嗟に掴んだそれは、何処かで見たような気がして。 カウンターチェアを回転させ、背後へと振り返ってみれば…… 「……」 壁際にあるソファ。そこで丸くなって眠る蕾に掛かっていた筈のケットが、無くなっている事に気付いた。

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