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第373話
温かくて、懐かしくて、心地良い。
不思議と感じる、安心感。
まるで、幼い頃の僕を抱き締めているようで……僕自身も救われているような気がする。
僕にしがみつく手。
きっと、蕾にとっては必死なんだろう。
背中に回した手に、力を込める。
それに反応し、蕾が更に身体を寄せてしがみつく。
この不安をどう取り除けばいいのか解らず、蕾の後頭部にそっと手を当て、ゆっくりと、よしよしする。
やがて聞こえる、寝息。
酷く、ほっとする。
心地良い怠さ。
身体が次第に、ベッドへと沈んでいく。
蕾から発せられる眠気のオーラが、僕を優しく包み込み、夢の世界へと誘う。
大丈夫だよ、蕾。
おやすみ……
「──オイ、起きろ!」
突然鳴り響く怒号。その直後、後方へと腕を強く引っ張られる。
驚いてぱちんと目を開ければ、視界に映ったのは──屋久と蕾。
「蕾、テメェ、さくらに何しやがった!」
背後から両腕が伸び、僕の身体をしっかりと抱き止める。
「……蕾。俺の許可なくベッドに入っちゃ駄目だって……あれ程言ったよね……」
「…………ご、めんな……さ……」
落ち着き払いながらも、冷酷な微笑を浮かべる屋久。
それに酷く脅え、声まで震わせながら、蕾がその足元に跪き、額を床に擦り付ける。
「駄目。……許さない」
ジャラッ……
剥き出しになった蕾の首に、屋久が鎖を巻き付ける。
そして、躾けとばかりにグンッと強く引っ張り上げれば、首が伸び、蕾の顎先が持ち上げられる。
「──!」
……待って!
蕾は、悪くない。
ベッドに誘ったのは、僕だ。
蕾は、何も……
「……なぁ、姫。蕾に何処まで身体を許したんだ?」
「………」
耳元で囁かれる声。
僕を抱き締める手が蠢き、シャツの裾からスルリと入り込む。
「ここ……触らせたのか?」
「……!」
「それとも、舐めさせたか?」
摘ままれ、きゅっと引っ張られる小さな突起。
そこから否応なく快感が引き出され、堪らず口を引き結ぶ。
「我慢するなよ。……これも教育なんだからな」
「……っ、」
シャツを勢いよく捲られ、身動きが取れないままベッドへと押し付けられる。
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