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第374話

身体のラインを確かめるように、僕の背中や腰回りを厭らしく撫で回す。 その手が僕のズボンに掛かり、一気に下着ごと摺り下ろされる。 「………はぁ、堪んねぇな」 僕の両手首を掴んで背中に回し、片手だけで軽々と束ねる。突き出したお尻。それをもう片方の手が揉みしだく。 「……なぁ、さくら。お前は俺らの何だ? 『姫』だろ? 姫なら姫らしく、他の野郎に気安く触らせんじゃねぇ」 「──そう。それが、君の役割だよ」 蕾の鎖を持つ屋久が、横から口を挟む。 ベッドシーツを握り締めながら様子を伺えば、相変わらず貼り付けたような笑顔を浮かべた屋久が、此方を見ていた。 その瞳が、足元にいる蕾へスッと落とされる。 「人にはそれぞれ、役割というものがある。姫には姫の、蕾には蕾の役割が。……わかるか、蕾」 「……」 「それを、決して越えてはならない。 姫に触れていいのは………俺と、基泰だけなんだよ」 「……」 ジャラッ 蕾の前に腰を落とした屋久が、脅え震える蕾の片頬を包む。 ……役割…… そうだ。 僕も蕾も、ここでは二人の所有物だ。 主人の言いつけを守り、従わなければ──与えられるのは、罰。 ゾクッと背筋が凍る。 蕾は、あんなに脅えていたのに──そうさせてしまったのは、僕だ。 「解ったなら、自分の寝床でおやすみ。 ……よしよし、良い子だ」 蕾の頬に触れる手が、蕾の髪へと移る。 屋久を見上げる蕾の瞳が潤み、こくんと小さく頷く。 「………どうやら、基成(ナリ)から許可が出たようだな」 背後から、基泰の低い声が聞こえる。 僕の尻を揉みしだく手が止まり、スッと一度離れる。 ねっとりと濡れた指先。尻の割れ目に沿って這われる度に、粘着性のある厭らしい水音が立つ。やがてきゅっと口を閉じた窄まりを見つければ、そこに指先が宛がわれる。 「それじゃあ、始めるか」 「──!」 垂直に立てられ、ゆっくりとナカへ侵入する。

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