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第375話

奥まで到達した後、指先が鈎状に曲げられ、小刻みに激しく抽送しながら、内壁を何度も何度も引っ掻く。 恐怖と痛みの狭間に存在する、快感。 だけど、そのどれもが綱渡り状態で、何方にも逃げられない。 「蕾は、俺の言う事を良く聞く……良い子だ」 「……」 「その良い子を、まさか姫が(たぶら)かしたりしてないよね……」 ベッドに膝を付いて上がる屋久が、僕の顎を掴んで持ち上げる。 冷たい声。冷たい微笑。 まるで最初から、何もかもを知っているかのような、見透かした双眸。 「そんな悪い事したら、駄目だよ……姫」 「……」 「お仕置き……しなくちゃね」 そう、屋久が呟けば、その言葉を待ってましたとばかりに、基泰の指が引き抜かれる。 ………あ…… 次に来るだろう、恐怖。 今までと比べ物にならない程張り詰めたモノが、熱い息を吐き、涎を垂らしながら、先程解した所に宛がわれる。 ズッ、ズッ、ズッ、…… 刻むようにして、徐々に挿し込まれる剛直。 無理矢理恥肉を割り開き、内壁を強く擦り、その強い圧迫感に息が止まる。 ───あ、あ、あ…… 痛みを逃そうと、シーツをきゅっと握り締め、ゆっくりと息を吐く。 きゅっと瞑る瞳。 少しだけ開けた下唇に、屋久の親指が僅かに触れる。 「そろそろ動くぞ、さくら」 そう言いながら、基泰が愛おしそうに僕の尻から太腿を撫で回す。 「……っ、」 思うより先に、震える身体。 初めてここに来た時に感じた、強い恐怖──初めて体験した、『凶器の太さ』と『夜通し』。 加えて襲ってきたのは、絶頂にも似た『快感』。 「行くぞ」 パンッ、パンッ、パンッ──! 僕の腰を両手で掴み、激しく腰を打ち付け、容赦なく最奥を突く。 何度も、何度も、何度も、何度も──! 「………あぁ、凄ぇな」 快感で震える、基泰の声。 荒々しい息遣い。 「女みてぇに細くて、肌触りもいい……ナカは熱くて、とろとろしてて……なのに、きゅって締め付けてくるしよぉ…… ……それに……」 「………っ、!」 「凄ぇ、……いい匂いだ」 興奮、してるんだろう。 片手で僕の二の腕を掴み、引っ張りながら更に奥を抉る。腰を押し付けたまま僕の背後をひと嗅ぎすれば、ナカで留まっているモノが、更に硬く張り詰めていく。 一体どの位のリーチがあるんだろう。内臓を押し上げられたような、鈍い痛み。 腰の動きが再開すれば、寒気が強くなっていき、ぶるぶると手足が震えて止まらない。 「……さくら」 不意に名前を呼ばれ、閉じていた瞼を僅かに持ち上げる。

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