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第377話
──パンッ!
鈍い音と共に走る、臀部の痛み。
その瞬間、目の前が黒い砂嵐に変わり、脳内がじりじりと痺れる。
涙の溜まった瞳。さっきから開いてる筈のそこに、段々と肌色が映り込む。
「……凄ぇな。叩いた瞬間、ナカが締まったぜ」
ゆさゆさと、大きく揺さぶられる身体。前から後ろから、男二人に良いようにされて。
まるで僕は、意思を持たない葦 のよう。
パンッ!──
もう一度スパンキングされる。今度は、さっきよりも強く。
「おぉ、また締まった。……姫は、痛ぇのが好きなのか?」
──『痛ぇの、好きだろ』
基泰の声と重なるようにして蘇る……竜一の声。
その懐かしい声と台詞が脳内に響いた途端、血液と共に身体中を熱いものが駆け巡っていく。
──ゃ、だ………
そんなの、好きじゃ……
否定しているのに、ガクガクと震えてしまう四肢。
……おかしい。
何か、おかしい。
その何かから逃れようと、入らない力を入れ、シーツをぎゅっと掴む。
だけど、僕の背後を柔らかなベールのようなものが纏い、手のような形の感触が、脇腹から内腿の間へと滑り下りてきて……
───あっ、!
柔らかな手が僕のモノを包み込み、その先端を指先で弄られ……そこから溢れ出た蜜液を、塗り広げるようにして上下に擦られ………
一番感じる所──カリと裏筋の交わる部分を執拗に刺激されて──
「──!」
……こ、んなの………無理……
駄目、だめ……竜一……
……挿れ、ながら……擦ったりしちゃ……
一生懸命、訴えてるのに──竜一には、僕の声が聞こえていないみたいで。
喉奥に感じる、痛みと違和感。息苦しさ。
瞑った瞼の縁から、ぼろぼろと涙が零れ落ちる。
……やだ……竜一……
壊れる……壊れちゃうよぉ………
擦れる度に蘇る、竜一の温もり。煙草の匂い。熱い息遣い。大きな手のひら。──そのどれもが僕の脳内を刺激し、思考回路を破壊していく。
突然ガクンと体勢が崩れる。
手足を付いた所に広がる、闇、闇、闇──
そこから無数の手が伸び、僕の腕を、足を、腰を、咥内を捕らえ、引き摺り込もうとする。
離れていく、竜一の面影。
それに縋りつこうと、懸命に声を絞り出す。
……竜一、ゃだ……助けて……
堕ちる──堕ちちゃう……
………怖い、こわい…………あぁっ、……!
「───……ッッ、!」
びゅ、びゅるるるる………
腹の奥に集まった何かが滾り、不様に果て……弛緩していく身体。
ズルッ、と口から何かが外れ、ガクンと落ちる。
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