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第389話

ぴちゅ、ぴちゃ…… 胡座をかいたおじさんの足に手を掛け、類がその中心に顔を埋める。 「よしよし、いい子だ」 剥き出された男の下半身。 いきり立つそれを、類が犬のようにペロペロと舐める。 「………可愛いなぁ、お前。……よくよく見たら、女の子みたいに可愛い顔してるじゃねぇか」 類の前髪を搔き上げ、不器用ながら自分のモノを懸命に愛撫する姿を、ニヤついた顔で愛おしげに見つめる。 「おじさんはな、長くて綺麗な黒髪が大好きなんだ。……類も伸ばしてみるか? おじさんの好みになったら、類が欲しいもの、何でも買ってやるよ」 「………んっ、」 突き出した類の尻を、もう片方の手でゆっくりと弄った後、ズボンの中にスルリと侵入する。 「──やめろ! 類に、そんな事……」 堪らず叫んだ蕾は、おじさんに飛び掛かった。 恐怖心が無かった訳じゃない。 けど、あの女性のように、類まで──そう思ったら、勝手に身体が動いていた。 「うるせぇッッ、!!」 ──バチンッ おじさんの裏拳が飛ぶ。 片足が浮き、後方に吹っ飛び──近くの壁に、背中と頭を強く打つ。 「………にぃちゃ……っ、」 心配した類が、蕾に声を掛ける。 「大丈夫だ。心配いらないよ。……お兄ちゃんは、あそこで少し眠っているだけだからね」 「……」 「ほら、今度はお口の中に入れて、しゃぶってごらん。……飴玉をゆっくり溶かすように、ペロペロしてね」 類の後頭部をホールドし、半ば強引に自身のモノへと顔を近付けさせる。 言われるまま、類の小さな口がソレを飲み込むと、おじさんはその根元を握り締め、扱きながら熱い息を吐く。 「……」 完全に。気を失っていた訳じゃなかった。脳内がぐわんと大きく揺れ、じん…と痺れて止まらない。 指先すら、動かせない。 まだ5歳の小さな身体では、弟すら守れないという事を、痛い程感じていた。 薄く閉じた瞼の隙間から滲んだ涙が、睫毛を濡らしながら一筋、零れ落ちる。 「よしよし、上手いぞ……類」 「………っ、んぅ……」 まだ善悪の区別のつかない年頃の類は、この行為にどんな意味があるのか……解らないまま順応しようとしていた。 その行為を止める事ができない蕾は、心の奥から湧き上がる感情を、ただ只管に、押し殺すしかなかった。 この異常な監禁生活は、類が男らしい顔付きに成長し、次の犯行が行われる五年後まで続いた。

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