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第423話

ゾクッ…… 身体中を駆け抜けていく、悪寒とも快感とも取れない震え。その甘く痺れていく感覚を受け流し、太一を間近でぼんやりと見つめる。 「……」 「………あぁ……凄ぇ色気だな。堪んねぇ……」 ドクドクと脈動し、より太く硬くその存在を誇示する太一の怒張。真っ直ぐに見下ろされる、二つの瞳。ナイフのように尖り、何処か冷めたようなその瞳に、甘く蕩けたような劣情が宿る。 その瞳にじっと見つめられれば、不思議とナカがズクンと疼いてしまい…… 「………っ、は……、」 唇から漏れる、微かな吐息。首筋や胸元から立ち篭める、噎せ返る程の甘っとろい匂い。 周りを囲うようにして傍観する男達の鼻腔をも擽ったんだろう。それまで大人しくしていたものの、耐えきれずに自身のモノを握って扱く。 「──俺はなァ、お姫サマ。初めて会った時からそそられてんだよ。 脅えながらも、ハイジに手を引かれて溜まり場に足を踏み入れた時のお前は……そりゃあ可愛くってな。 どうやったら、ハイジの目ぇ盗んで一発ヤれるか……んな事ばっか考えてたんだぜ」 「……」 「んでやっと邪魔者(ハイジ)が消えたと思ったら、今度は別の男を咥え込みやがって。 吉岡のお膳立てってのは気に入らなかったが、丁度イラついてたしな。 散々皆でお前を輪姦(マワ)して、ヤり捨てた時の姫の表情(かお)といったら………マジで最高だったんだぜ」 太一の口の片端が、クッと持ち上がる。 「吉岡(ヤツ)の手前、一度は捨てたが……俺はいつでもお前を引き上げて、俺専属のオンナにしてやろうと考えてたんだぜ。 ……なのに、いつの間にか山本のオンナに成り上がりやがって。 そのせいで俺らは、殺気立った山本から報復を受けたんだぜ……」 「……」 ………憶えてる。 確かモルが、ボコボコにしたって言ってた…… 僕が誰に何をされようと、いつだって涼しい顔をして、突き放そうとまでした竜一が……太一達を─── 「………でもな。そのお陰で気付かされたんだよ。 裏社会の権力者を後ろ盾にする姫が、闇の世界に引き摺り込まれ……汚されれば汚される度輝きを増し、目を引く存在になっていくのを、な」

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