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第424話

「例えるなら……そう、月だ。 明るい昼間は目立たねぇが、陽の沈んだ闇の世界で、妖艶に輝く月──」 徐に、僕の首筋を舐め盗り柔く食んだ後、そこから鎖骨、胸元、ピンと立つ淡い桜色の乳首へ、つぅ…と舌先を滑り下ろす。 そこを舌先で弾かれ、舐られ、柔く歯を立てて食まれ……やがて硬い芯が生まれれば、貪るように(かぶ)りつき、じゅっと強く吸い上げられる。 「………っん、……」 鼻から抜ける、小さな嬌声。 単なる、本能的な反応。 ……だけど……心とは裏腹に、感じる事を拒んではくれない。 「いい眺めだな。 抗いたくても抗えない、快感に従順なこの身体に、絶望と戸惑いを隠せないその表情(かお)──ゾクゾクするぜ。 もっと汚して、啼かせてやりてぇ……」 ズンッ── 上体を起こした太一が、僕の腰を掴んで一気に突き上げる。 歪めた口。細い目で見下ろす、何かを企んだような悪い顔。 「裏社会を牛耳る男達に汚されて、更に深い闇に突き落とされたら……お前は今よりももっと魅惑的で、妖艶に輝く『月』になるんだろうなァ……」 「………」 「俺はそんなお前を、見たいだけだ」 ──ズッズッズッ 興奮したのか。太一の腰の動きが再び速くなる。その度に、上下に大きく揺さぶられる身体。 揺れる天井を眺めながら、ぼんやりと頭の中で思考を巡らせる。 ……そんな、訳……ない……… どぶ川に落ち、泥に塗れて沈んだ僕は…… もう戻る事もできず、ただ朽ち果てていくだけ…… 闇夜を輝かせ、人を魅了させる月とは違う。 ただ、運命に流されているだけの僕が…… ……なれる訳…… 「……」 絶望に打ちひしがれる僕に、容赦なく最奥を突く太一。 僕を見下げるその瞳は、獲物を捕らえたハンターのようにギラギラと輝き、野性味溢れる熱が灯る。 「……だからなァ、お姫サマ。 こんな浅瀬で、朽ち果てようとしてんじゃねぇぜ」 「──!」 浅瀬──? ここが、浅瀬……… ……そんな…… 胸に広がっていく、嫌な感覚。 ナカを強く突いた後、一度引き抜いて今度は僕をうつ伏せにひっくり返す。 そして腰を掴まれ、尻を突き出すよう乱雑に持ち上げられれば、直ぐに太一のモノがズンッと打ち込まれる。 「………なぁ、お姫サマ。ひとつ教えといてやる。 若葉を目覚めさせる為だけの捨て駒だったお前を、キング(アイツら)が突然保護した理由だよ……」

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