430 / 558

第427話

肌と肌のぶつかる、乾いた音。 粘膜同士が擦れ合う、卑猥な水音。 ………はぁ、はぁ、 周りの男達に見世物にされ……もうどれ位こうして犯され続けているんだろう。 激しく乱暴に身体を揺さぶられ……その度に下腹部が疼き、熱い息が漏れてしまう。 苦しくて……辛いのに…… 切り離した身体と心をひとつに繋ぎ合わせ、尚も『僕』を引き摺り出そうと、太一が僕を汚し続ける。 眩暈がする。 吐き気も……酷い。 床を這うように腕を動かすけど、直ぐに腰を掴まれ、引き戻されてしまう。 「オラ、逃げんな!」 ズンッ── 最奥を突かれ、何かが目の前で飛び散る。 不意に顔を上げれば……びゅるびゅる、と掛かる、真正面に立つ男の放った白濁液。 「……」 トロ……、 眉間から小鼻の脇を通り、ゆっくりと垂れ流れるソレ。 生暖かくて……生臭い。 羞恥。屈辱。──心を削ぎ落とされたような、嫌な感情。 それらが否応なく沸き上がり、僕の深層部に潜む『僕』が、僅かに反応を示す。 「なァ、お姫サマ…… もしお前が、若葉の身代わりにならねェって見限られたら……どうなるか解るか?」 高い位置から降る、太一の得意気な声。 ゆっくりと振り返れば、精液に塗れた顔を曝す僕を見下げ、口元を歪めてあざ笑う。 「……俺らが下でナニやってるかは、知ってるよなァ」 厭らしい息を何度も吐き、僕の尻を撫で回しながら、耐え忍ぶ僕に太一が畳み掛ける。 「……何か、勘付かねぇか? VIPで会った頃、俺らはチームを再結成してハイジと同じ仕事をしてたんだぜ。 調教に成功し、奴隷になれる素質のある女だけを、大友組管轄の会員制SMクラブに送る。失敗した女は全て、基成に横流し──つまり」 「……」 「リユースだ。 シャブ漬けにした女を、骨の髄まで貪りつくす──廃人になって朽ち果てるまで、男に身体を売らせんだよ」 「……!」 ……ゾクッ 火照る身体に、悪寒が走る。 そんな僕の肩を掴み、引き上げた後──二の腕を掴み直して引っ張り上げる。 「覚えてるよなァ。ハイジが調教した女のハナシ。 ……可哀想に。アレは基成に引き取られてから、行方知れずだ。 何処かで家畜同然の扱いを受けてるか……或いは既に、のたれ死んでるんだろうな」 「……」 ……そん……な…… 想像しただけで、胸が抉られるように痛い。 微かな甘い匂い。異様な雰囲気。 下階にいるあの女性達は……麻薬か何かで操られていたんだ……

ともだちにシェアしよう!