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第427話
肌と肌のぶつかる、乾いた音。
粘膜同士が擦れ合う、卑猥な水音。
………はぁ、はぁ、
周りの男達に見世物にされ……もうどれ位こうして犯され続けているんだろう。
激しく乱暴に身体を揺さぶられ……その度に下腹部が疼き、熱い息が漏れてしまう。
苦しくて……辛いのに……
切り離した身体と心をひとつに繋ぎ合わせ、尚も『僕』を引き摺り出そうと、太一が僕を汚し続ける。
眩暈がする。
吐き気も……酷い。
床を這うように腕を動かすけど、直ぐに腰を掴まれ、引き戻されてしまう。
「オラ、逃げんな!」
ズンッ──
最奥を突かれ、何かが目の前で飛び散る。
不意に顔を上げれば……びゅるびゅる、と掛かる、真正面に立つ男の放った白濁液。
「……」
トロ……、
眉間から小鼻の脇を通り、ゆっくりと垂れ流れるソレ。
生暖かくて……生臭い。
羞恥。屈辱。──心を削ぎ落とされたような、嫌な感情。
それらが否応なく沸き上がり、僕の深層部に潜む『僕』が、僅かに反応を示す。
「なァ、お姫サマ……
もしお前が、若葉の身代わりにならねェって見限られたら……どうなるか解るか?」
高い位置から降る、太一の得意気な声。
ゆっくりと振り返れば、精液に塗れた顔を曝す僕を見下げ、口元を歪めてあざ笑う。
「……俺らが下でナニやってるかは、知ってるよなァ」
厭らしい息を何度も吐き、僕の尻を撫で回しながら、耐え忍ぶ僕に太一が畳み掛ける。
「……何か、勘付かねぇか?
VIPで会った頃、俺らはチームを再結成してハイジと同じ仕事をしてたんだぜ。
調教に成功し、奴隷になれる素質のある女だけを、大友組管轄の会員制SMクラブに送る。失敗した女は全て、基成に横流し──つまり」
「……」
「リユースだ。
シャブ漬けにした女を、骨の髄まで貪りつくす──廃人になって朽ち果てるまで、男に身体を売らせんだよ」
「……!」
……ゾクッ
火照る身体に、悪寒が走る。
そんな僕の肩を掴み、引き上げた後──二の腕を掴み直して引っ張り上げる。
「覚えてるよなァ。ハイジが調教した女のハナシ。
……可哀想に。アレは基成に引き取られてから、行方知れずだ。
何処かで家畜同然の扱いを受けてるか……或いは既に、のたれ死んでるんだろうな」
「……」
……そん……な……
想像しただけで、胸が抉られるように痛い。
微かな甘い匂い。異様な雰囲気。
下階にいるあの女性達は……麻薬か何かで操られていたんだ……
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