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第428話

「………安心しな。 そん時はまた、俺が拾い上げてやる。 俺は……どんなお前でも、見切ったりしねぇからな」 ───ズンッ 片腕を引っぱられ、強く突かれる。 必然的に横向きにされる身体。僕を視姦する、周囲の男達。 その歪んだ顔が、大きく揺れる。 「………っ、あ″……!」 暴かれる度に、沸き上がる快感。 床をついた手──その腕が、体重を支えきれずにガクガクと震える。 匂い立つ、甘い香り。 僕の項に顔を埋め、カリッと歯を立てて太一が僕を喰らう。 「そんでまた、犯してやるよ。 お前の中に潜んでる、本来の『姫』を引き摺り出すまでな──」 はぁ、はぁ、はぁ……… 回る──周りの景色が、傍観する男達の顔が、目の前が…… グルグルと高速回転する、コーヒーカップに乗っているかのように。 眩暈がする。酷い吐き気さえも。 「……」 僕の中にいる、『僕』。 僕の知らない『僕』。 もし今、『僕』が目醒めてしまったとしたら……どうなるんたろう。 ……僕は、壊される……? それとも……跡形もなく消えて無くなってしまう……? 「………」 以前の僕なら、それでいいと思っただろう。 誰からも必要とされない僕──母からは蔑んだ目で見られ、アゲハからはいい兄を演じられ……その王子である兄に近付くべく、クラスメイトや先生には、踏み台にされてきた。 このまま、誰にも見られず……消えてしまいたいと何度も思った。 ──でも…… こんな、消えかかっていた僕を……見つけて拾ってくれた人達がいた。 ……だから…… どんなに身体を汚されたとしても……この心だけは、手放したりしない。 僕は、僕だから── 身体をひっくり返され、左側の太腿を抱えるようにして持ち上げられる。 ズ、ズ、ズ、ズ、 ……はぁ、はぁ、はぁ 突然速くなる抽送。 反応を示さない僕を鋭い眼で見下げ、荒々しい息を吐きながら、上から押さえつけるように僕の右肩をぎゅっと掴む。 「──いくぞ!」 ズンッ…… 深く打ち込まれる、太い熱芯。僕のナカでドクドクと脈動した後、下腹部に熱いものが広がっていく。 「……」 「………おまえ……」 僕を真っ直ぐ捉える、吊り上がった眼。 想定していたものとは違っていたんだろう。 忌々しく太一が眉間に皺を寄せた。

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