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第431話

「………デカくて長ぇだろ。俺のは奥まで届くぜ」 ニヤついた声でそう言うと、男は挿れたまま僕の膝裏に手を掛け、グイと顔の左右へと押し上げる。そして浮かせた腰を根元まで押し込み、ゆさゆさと大きく揺らしながら僕のナカを掻き回す。 「──っ、!」 基泰のソレとは、違う。 でも、無理な体勢と圧迫感が……苦しい。 溜まり場でリンチされた時の僕は、細いながら今よりも身体に肉が付いていて……体力だって、そこそこあった。 けど今は、直ぐに意識が途切れてしまうし、いベッドでの生活を余儀なくされる程、ひ弱になってしまった。 ゴリ、ゴリ、…… 大きく揺さぶられる度に、出っ張った肩甲骨や背骨が、硬い床に当たって痛い。 「………、ぁ″」 喉は渇き、頭が痺れ、貧血を起こしたように、目の前が真っ暗になる。 動かない身体。背後から伸びる無数の黒い手が、その身体を鷲掴んで床下へと引き摺り込んでいく。 ───沈む…… 沈んでいく。 泥の底へと沈められ、苦しくて息ができない── 必死に藻掻き、水面へと手を伸ばすけど……もう、届きそうにない。 「………っ、ゃあ″ぁあ、!」 底の方から聞こえる、くぐもった僕の叫び声── 振り返ってみれば、あの忌まわしい溜まり場が真下に見えた。 男達に囲まれ、その円の中心で組み敷かれている僕。上から押さえつけ、僕を覗き込む男の右手には──鋭く光る、工具用のカッター。 ………い、ゃだ…… 助けて…… カタカタと震える四肢。 それでも懸命に力を籠め、大きく動かして更に深く潜る。 ……怖い…… 助けて……ハイジ…… 心の奥から湧き上がってくる感情。これが、今の僕のものか、過去のものなのか……解らない。 潜れば潜る程身体は重く、呼吸が苦しくなっていく。 「──!」 男の肩越しから見える、僕の胸元。そこに刻まれた、無数の切り傷。 血が滲んで溢れると、男が堪らなそうに舐め上げる。 ………カチ、カチ、カチ それだけでは飽き足らなかったんだろう。 カッターの刃を更に出し、先の尖った部分を僕の柔肌に立てる。

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