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第435話

軽々と両足を持ち上げられ、その間に蕾の下半身が詰め寄る。 僕を見下げる、プラスチックのような双眸。 吸った息を小さく吐き、諦めたように全身から力を抜いていく。 「……」 弛緩したその身体を更に引き寄せた蕾が、白濁液で塗れた小さな窄まりに、握り込んだ自身のモノを宛がう。 蕾のソレが、解る。……もう、熱を持つ程に腫れ上がっていて、感覚なんて殆どない筈なのに。 ツプ…… 尖端が押し込まれ、その熱と形状の感覚が、襲いかかる強い痛みの波で掻き消える。 「──っ、!」 痛い───けど、大丈夫。 多分、これを乗り越えれば……また痛みは遠退いていくから。 そっと瞼を閉じ、次の痛みの襲来を覚悟した──時だった。 「───ぅ、あ″ぁぁあっ、!」 僕の真上で叫び、発狂する蕾。 先程挿れたソレを、弾かれたように引っこ抜く。 驚いて目を開ければ、僕を見下ろす蕾の肩が大きく震えていて…… はぁ……はぁ……はぁ…… 白目を剥き出す程に、見開かれた眼。 苦しいのか。眉間に皺を寄せ、何かに堪えようと息を荒げている。 「………ぃ、やだ……」 震える、小さな声。 それまで見せていた、無感情な動きとは違う。 戸惑いながらも、視線を逸らさずにいれば……その言動とは裏腹に、蕾の右手が迷いなく僕の首を捕らえる。 ジャラ…… 黒くて長い、重厚感のあるそれ。 輪っかに指四本を下から引っ掛け、太一がしたようにグイと強く引き上げる。 「……」 天に突き出される顎先。その下からむぁっと立ち篭める、甘美な匂い。 それに反応し、硬く反り上がった蕾の尖端が、堪らないとばかりに僕の下肢を擦り上げる。 「………いや、だ………いやだぁ──!」 ぽた、ぽたぽた…… 鎖骨に、熱いものが当たって濡れる。 ゆっくりと視線を動かして蕾を見れば……潤んだ二つの瞳から、ぽろぽろと大粒の涙が溢れ落ちていた。 「……」 驚いて、息を飲む。 蕾に一体何が起きたのか……解らない。 はぁ、はぁ、はぁ…… 酷く怯え、震える呼吸。思い詰めたような、苦しそうな表情。 ……だけど、何処か強い意思のようなものを感じる。 ───ガッッ、!! 目が合った瞬間──何の前触れもなく、首輪を持つ自身の腕に噛み付く。 まるで、暴漢から主人を守る『番犬』のように。

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