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第491話

「……渡さねぇよ」 動揺を隠せない基泰が、込み上げるものを抑えるようにボソリと呟く。 「さくらは、俺達コブラの大事な姫だ」 「……大事って。綺麗に着飾った姫を、二人で大事に鑑賞でもしてんのか?」 「か、──可愛がってんだよ。毎晩ベッドの上でな!」 カッとなった基泰が、僕の肩に腕を回し、グイと引き寄せる。 それはまるで、大事な玩具を必死で守る子供のような反応で、それまで冷ややかだった深沢が突然吹き出す。 「……何が可笑しい……」 「ああ、可笑しいね。……お前、何の役にも立たねぇ、インポ野郎じゃなかったか?」 深沢の蒼眼が、わざとらしく基泰の下肢の間へと向けられる。 その瞬間── 「──ふざっ、けんな……!」 揶揄いにも似た深沢の挑発を、真っ向から受け止った基泰が怒号を飛ばす。その顔は真っ赤で、睨みつける眼は鋭く尖り、血走っていた。 「見てろよ、深沢ぁ……」 カチャ、カチャ…… 深沢を鋭く睨みつけながら、片手でズボンの前を寛がせる基泰が、その内部に秘めていたモノを取り出す。 「………舐めろ」 もう片方の手が僕の後頭部に移り、剥き出されたソレへと強引に顔を押し付ける。 「……っ、!」 目の前には、熱気と湿気の籠もった肉欲。 まだ大きくなっていないソレが基泰の手によって起こされる。 思わぬ展開に、パニックで頭が回らない。 チラリと深沢を盗み見れば、興味があるとも無いともとれない……ビデオカメラのレンズのように、ただ無機質な眼が向けられているだけ── 「……」 後頭部から、背中……そして、ショートパンツの中へ。基泰の手がゆっくりと滑り下り、その指先が僕の尾てい骨に触れる。 そこを何度か擦られた後、更に手が伸び、丸みを失った臀部を揉みしだく。 まさか……最後まで…… ……ここで……? これは、何かの取引じゃない。 基泰のプライドを保つ為の行為。 だけど── 視界の端に映る、四つん這いの五十嵐。 床に伏せ、未だ怯え震える愁。 従わなければ……僕だけじゃない。 五十嵐や愁にも、危害が加わるかもしれない…… 「……」 ねち…… 根元付近から舐め上げた後、ゆっくりと口に含む。 ツン、と鼻につく異臭。籠もった汗臭さと基泰自身の匂い。そして、特有の刺激臭。鼻から抜けるそれらに耐えながら、軽く瞼を閉じる。 ……ぐちゅ……ぢゅるっ、 大きい。 太くて、長くて……口いっぱいに頬張っても、まだ足りない。 「……、」 これが、夜通し挿れられていたのかと思うと、ゾッとする。

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