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第492話
……ピク、ンッ
吸いながら舌先で裏筋を愛撫すれば、太く反り上がった熱芯が、耐え難い程に大きく痙攣し──
「──っ、やべぇ!」
下着の中にあった基泰の手が、本能のままに引き抜かれ、僕の後頭部をグッと押しつける。と同事に伸びる先端。
突然喉奥に突っ込まれ、吐き気を催す。
「……うぐぅ、ぅえ″ぇ……っ、」
本能的に頭を擡げ、身体を起こし、その苦しみから逃れようとした。
ぼたぼたぼた……
開いた口から滴り落ちる、唾液と何かが混ざった粘液。
だけど、それが精液ではないのは……太さや大きさを失わず、未だにソレが屹立している様子から窺えた。
「……俺に汚ぇもん見せて、その程度か。
菊地が連れていた頃の工藤さくらは、今より随分とエロくて……艶っぽかったぜ」
「──!」
深沢の挑発に、基泰がカッとなって身を乗り出す。
嗚咽を繰り返す僕などお構いなしに、テーブルからMDMAシートを拾った深沢が、更に基泰を貶 める言葉を吐く。
「これ使って、やっと同等レベルになるんじゃねぇの?」
「……ふざけんな。さくらには絶対使わねぇ。死んでも使わせねぇよ」
「……」
「惚れた女を……俺が、廃人になんかさせるか!」
深沢を睨みつけながら、基泰が咳き込む僕の背中を擦ってくれる。
膝の上を、僕の嘔吐物で汚してしまったというのに。
「……なぁ、基泰。俺ら半グレの精神は何か、知ってるか?」
基泰の表情を窺っていた深沢が、ようやく口の両端を少しだけ持ち上げる。
手にしていたシートをテーブルに戻し、代わりに個装された菓子をひとつ摘まみ上げる。
「精神……?」
「そう、精神」
「……」
先程までとは違う、少し落ち着いたトーン。心なしか、無機質な深沢の瞳から穏やかさが伝わってくる。
「自由だよ」
「……」
「世の中に蔓延る情報。教育。秩序。ルール。……それらは全て、正しいと思うか?
まだ自分で判断出来ねぇ赤ん坊の頃から、俺らは世の中を支配する何者かによって、奴等の思想を擦り込まれてきた。
それら全てが正しいと思い込み、何の疑いも持たず、その決まりの中で自由に生きるのは、本当の自由だと思うか?」
「……」
「俺らはそれに、早くから疑問を感じていた。奴等からすれば、擦り込みに失敗した出来損ないって所だな。
その出来損ないの俺らが、本当の自由を求め、思想を掲げ、世の中の自由と秩序に縛られる事無く生きてんだよ」
袋を破り、中から一口サイズの揚げ煎餅を取り出す。
「つまり。……いつまでも、同じ後ろ盾に固執するつもりはないって事だ」
「……」
「俺の言ってる意味、解るか?」
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