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感情の赴くままに2
「待って。帰るな」
道元坂の動きが止まると、ゆっくりと振り返った。俺は玄関まで到着すると、胸を手で押さえて呼吸を整えた。
反対の手は、道元坂の腕をぎゅっと掴んだ。じゃないと、俺の言葉を無視して帰ってしまいそうな気がして、嫌だったから。
「道元坂…あんたは、ライさんが好きか?」
「あ?」
道元坂がぽかんと口を開けた。珍しく間抜け顔だった。
「だって、道元坂は兄貴に片想いだったんだろ? ライさんは兄貴そっくりだから。それにここに来たのは…ライさんに会いたくてなのか?」
道元坂が『ふっ』と口元を緩めると、腕を掴んでいる俺の手に触れた。
「で? 何が言いたい」
「俺…は、ずっとあんたに会いたかった。道元坂に…抱かれたいって思ってた」
俺は己の言い放った言葉にびっくりして、道元坂の手の中にある指を引き抜こうとした…が、道元坂にぎゅっと握られてしまい、びくともしなかった。
「ちょ…離せよっ」
「お前は、馬鹿だろ?」
「な…何だよ。人を馬鹿呼ばわりすんな。確かに学校の成績は悪かったけど…人間的レベルで言えば、優秀なんだよ」
「人間的レベルって…意味がわらない。きちんと日本語を話せ」
「うるさいよ。てか手を離せって言ったんだよ。あんたこそ、日本語が理解できてねえんじゃねえの」
「掴んできたのは、智紀だろ。せっかく昔の生活に戻してやったのに。自ら戻ろうとして…本当にお前は馬鹿だな」
「だから…俺を馬鹿って言うな」
道元坂が、嬉しそうに微笑むとぐいっと俺の手を引っ張って抱き寄せた。
ぎゅうっと俺の肩を抱きしめた後に、道元坂の唇が俺の口を塞いだ。
道元坂が、俺を求めるかのように熱い舌を絡めあさせてくる。熱い吐息が混じり合い、どっちの熱だかわからなくなる。
ずっと、待ってた感触だった。ずっと、俺に触れてほしい感触だった。
「智紀、誘ってきたのはお前だからな。どこでどう乱れようとも文句を言うなよ」
「うるせえよ。ごちゃごちゃ言う前に、早く抱けよ」
俺は道元坂のスーツの上着を剥ぎとると、ネクタイに指をかける。
「待て。ズボンだけでいい。早く、智紀の中に入りたい」
道元坂が、俺の手を止めさせた。
俺は「わかった」とだけ答えると、道元坂のベルトに指を移動させた。もうすでに道元坂の熱は爆発しそうになっていた。
「これ、俺ん中に入んの?」
「ああ。壁に手をつけ。身体を支えていろ。しばらくしてないから、軽く指で慣らしてから…」
道元坂が、俺の口の中に指を2本ほど入れて唾液で濡らした
「んあっ、あっ…やめっ」
道元坂の指が俺の中に入る。
足ががくがくして、力が入らず、俺は壁から床に手が落ちていった。
「ど、道元坂ぁ…ちょ…あ、んああ…」
道元坂の指が数回、俺の中を掻きまわしただけで俺は絶頂を迎えた。
「悪いな。私もそろそろ我慢がききそうにない」
道元坂が指を引き抜くと、熱の塊を俺に突き付けた。
「早く…俺、欲しい」
道元坂がにやっと笑うと、「遠慮なく」と腰を掴んだ。
道元坂のリズムが、心地よい。痛みのあるけど、それ以上に俺は道元坂とやっとつながったという喜びで満たされた。
道元坂の荒い呼吸が俺の頬を撫で、道元坂の熱が俺を突き上げる。俺の全身がゾクゾクして、道元坂の全てを感じようとしているのがわかった。
「中に出すぞ。いいか?」
「もちろん。できればそのまま妊娠でもしたいよ」
道元坂の腰の振りが激しくなり、俺の奥を刺激する。
「うっ」と道元坂の小さな唸り声と同時に、腰の動きも停止した。
「智紀、一緒にシャワーを浴びるか?」
道元坂が俺の前髪に触れながら、誘ってくれた。
「もちろん」と答えた俺は、自分から道元坂にキスをした。
「道元坂っ!」
俺は瞼を持ち上げると、大声で叫んだ。
「何だ?」と道元坂の低い声が、上から聞こえてきた。俺は道元坂に膝枕をしてもらいながら、居間のソファで眠っていたらしい。
道元坂は、小難しそうな書類を片手に俺の顔を覗き込んできた。
「あ、いや。帰っちまったんじゃねえかと思って、つい…」
「俺の上でぐーすか寝ておいて…帰れるものなら帰って、仕事に行く準備をしたいがな」
「ご、ごめん」
俺は起き上がると、口を尖らせた。あまり記憶がない。
一緒に浴室に入って、また俺は道元坂に抱かれた。浴室から出る頃には、もう腰に力が入らなくて、道元坂に支えてもらいながら、居間に入ったのは覚えている。
そこから…また道元坂に抱かれて。今、やっと気がついたんだ
「なあ、俺…どうすりゃあ、いいんだ? ここに居たほうがいいのか?」
「智紀はどうしたい?」
「道元坂の傍に居たい」
「じゃあ、来るか?」
「いいのか?」
「智紀が嫌じゃなければ、私はいつでも歓迎だ」
俺は自然と顔が緩むのを感じながら、道元坂の腕に絡みついた。
「じゃあ、行く。道元坂のマンションがいい」
俺の言葉に、道元坂も小さく微笑んだように見えた。
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