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Ⅷ 真夏に濡れた蒼い太陽
夏の終わり
蝉の声は消えていた。
夜の闇に輝いた二つ光を見つけて、道端にしゃがんだ俺は手を伸ばしていた。
一瞬様子を伺った黒猫がフウッと威嚇して、路地裏に溶けた。
見上げた空に浮かんだ月が滲んでいる。
蒼く、蒼く
雫に濡れた空を儚く照らす、夜の太陽
俺、泣いている。
どうして?
なんで泣いてるんだろう。
空に輝く蒼い星は知っているのだろうか。
涙に濡れるままで、俺は一人、歩き出す。
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