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好きじゃないけど、軽い独占欲2

「痛いよ、ライさん」 子供らしく発言するその姿が腹立たしく、僕はまたジュニアの顔面を花束で叩く 花弁が散り、花粉がベッドを汚した 「できれば、他の看護師に見つかる前に拭いて欲しいんだけど…」 「僕にジュニアの股間の手入れをしろと?」 「だって俺、左手が動かないし。一人じゃ何もできない」 「全く…我儘なくそ餓鬼だ」 僕はまた花束で顔面を叩く、ジュニアのベッドの布団を剥がした 「は? なんで立ってるんです?」 パジャマのズボンを押し上げている股間に目がいく 「だって、ライさんに触れてもらえるって思ったら…興奮した」 「くそ餓鬼が」 僕はジュニアのズボンとパンツを引き下ろすと、女の液でキラリと輝くジュニア自身をぎゅうっと握った 「…あぁ、い、痛いって」 痛みで、ジュニアの顔が歪む 「僕にこんなことさせて…タダで気持ちよくさせてもらえると思ったんですか?」 「ん、くっ」と苦痛に歪むジュニアの顔に、僕の背筋がぞくっとした 腹立たしい! どうして僕が、こんな餓鬼にドキドキしなくちゃいけないんだ 「ああっ!」と悶え苦しむジュニアを見ているだけなのに、僕の下半身に意識が芽生える もっと虐めたくなる もっと僕の手で、苦しめたくなる ジュニアの苦痛に歪む顔が、僕の欲望を掻き立てた 「全く、僕は……」 僕はスーツの上着を脱ぎ、ジュニアの顔面に投げつけて、簡単ながらもジュニアの目隠しにした 僕は続けてネクタイを緩めて、ベルトに手をかけた ジュニアの手が僕の上着を剥がして、視界をクリアにしようとしているのがわかると、僕は「取るな! 見るな!」と命令する 「どうして?」 「見たら、殺す」 「は? だって…」 僕はホルスターから拳銃を引き抜くと、銃口を右腕に押し付けた 「見たら、右腕も不自由にしてやる。僕の姿を見るな」 ジュニアがくすっと笑ったのが、上着の中から聞こえた 13の餓鬼に、欲情するなんて…僕らしくない こいつに、抱かれたいなんて思うなんて 最低だ 僕は蛍の上に跨ると、そっとヤツを飲み込んだ 「んっ、ああっ」 熱をもった塊に僕は反応し、声が漏れる 拳銃を持ったまま、僕は上着ごと一緒に蛍に抱きついた 「ライさん、気持ちいい?」 「うるさい」 僕の腰が下に落ち着る前に、蛍の腰が先に上下運動を始めた 「ちょ…ん、あっ、け…ああっ」 ギシギシとベッドが軋む 「あ、俺…もう駄目っ」 ジュニアが呆気なく頂点にのぼる じわっと僕の中が温かくなり、内壁の滑りが良くなった 「僕がイッてないんですけど?」 僕は拳銃で、蛍の頭をガツンと殴った 「もうワンラウンド、やろうよ」 僕の中にいる蛍が、すぐに熱量を増していく 「今度はライさんが動いて。俺を感じさせて」 「馬鹿か? くそ餓鬼なんか…あ、あっ、って何、もうデカくなって…ちょ、きつっ」 「だってライさんの中って、すごく熱くて気持ち良いよ」 「うるさい! きつ…痛っ、あ、あぁ、ん」 いくらジュニアの精液で、ジェル代わりに滑りがよくなったからって… デカすぎなんだよ なに、そんなに元気になってるんだ 怪我人くせに 僕も、ジュニアに文句を言える立場じゃないくらいに早々に、白濁の液を吐きだした 快感を味わった僕は、脱力し、ジュニアの肩に頭を垂れた ずるい 何なんだ、こいつ 僕が抱かれたいって思うなんて、どうかしてる あがった息を整えていると、ジュニアが僕の上着を顔から退けた ジュニアの満足そうに微笑む顔が、目の前にある うざっ 僕はジュニアの右腕に再度、銃口を向ける 「俺、まだイケてないんだけど」 「知るか」 すでに1回イッてるヤツが何を言うか 僕とセックスしておいて、我儘すぎだ 「ライさん、もう少し中に居てもいい?」 「殺す」 僕の返答に、蛍がくすっと笑い、僕にキスをした 勝手に僕の唇を割って入ってきたあげくに、舌を掻きまわして、僕の全てを舐める 「あっ」と声が漏れると同時に、蛍がまた僕の中に欲望の液体を発射した 「俺、ライさんと一緒に暮らしてもいい?」 「そんなに早死にしたいのか?」 「好きみたいだ」 「曖昧な告白ならするな」 「うん。するつもりはなかった。だけど、やっぱエッチしちゃうと、離れたくないって思う。でもさ、ライさんは…侑が好きだったんだろ?」 『侑』という固有名詞に、僕はびくっと肩が跳ねる そんな僕の肩を、蛍がぐっと掴んでくれる 13歳なくせに、男らしい行動に僕は、ごくっと生唾を飲み込んだ 「侑はさ、言葉少ない奴だったけど…ライさんを愛してたよ。すごく好きだった。だけど組織に従順な男でもあったから、結果的にはライさんを裏切るように発信器を取り付けてしまった。恨まないで欲しい。侑がどれくらいライさんを好きだったか…俺、ちゃんとわかってるから」 「わかってて、僕の中に精液を吐きだしたと?」 「それは…ライさんが勝手に乗っかってきたから」 確かに…僕が我慢できなくなっただけですけど なんか腹が立つ 侑を知ってるこいつに、僕がセックスしたくなるなんて 気持ちとは裏腹に、ドキドキしてしまう己が情けなくなる 「ライさん、俺…どうしたらライさんの隣に立てるかな?」 「一生無理」 「そう言わないでよ。俺だって、頑張りたいんだから」 「そうですね。じゃ、一流高校に入学して、一流大学に入学して…一流の商社マンにでもなったら考えましょうか。あ、あと僕より言葉遣いも丁寧にならないと…言葉の遣いの荒い人は嫌いですから」 「わかった。俺、頑張るから」 ジュニアが僕の肩がぐいっと引き寄せて、唇にキスを落とした 僕は、ぐいっと胸を押すとすぐに唇を離した 「そう何度も僕が、キスさせると思ったんですか?」 ジュニアが寂しそうに微笑んで、肩を持ちあげた 僕は、ジュニアから離れるとベッドを下りた ティッシュで、濡れた足を軽く拭きとって、パンツを穿いた 「ライさん、帰るの?」 「僕は忙しいんです。もともと智紀の護衛なんですから」 ジュニアが僕の言葉を聞いて、にこっと笑みを送りながら、視線を逸らした 窓の外に目をやるジュニアが、物凄く寂しそうに見えた 何か言いたそうで、言えないジュニアの表情が、僕の胸を苦しくさせた 何なんですか、もうっ! 僕は、片膝をベッドにつくと、自ら蛍の唇を奪った 蛍の下唇を噛むと、意外に柔らくて、ついつい離れるのが名残惜しくなってしまう 「ライさん、俺……」 蛍が僕の腰を掴んで、慌てて口を開く が、苦笑いを浮かべながらゆっくりと首を横に振った 「ううん、やっぱ何でもない。智紀、弱いくせに隙ありすぎなヤツなんだから、早く戻ったほうがいいんじゃね?」 「僕を引きとめたのはそっちでしょ」 ジュニアが口を緩めると、僕から視線を外した 僕はネクタイをきちんと結びなおして、スーツの上着を羽織ると、何も言わずにジュニアの病室を後にした 僕に、言いかけた言葉なんだろうか 次に会ったときに確認しよう 僕は、病院の廊下を速足で通りすぎって行った

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