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それでも不安がある

ー侑sideー これでいいのだろうか? 俺は知ってしまったのに… 莱耶の気持ちを縛りつけてしまって、本当に良いのだろうか? 俺はバスルームから出ると、濡れた身体のままガウンに袖を通した 腰の位置でベルトを締めると、濡れた髪をタオルで素早く水気を吸い取る 「ふう」と息を吐きだしてから、俺はタオルを籠の中に放り込んで、居間に向かった 革製のソファに腰を下ろすと、足を組んでテーブルの上に散らばった書類を眺めた クラブの書類に交じって、莱耶の身辺調査の書類がちらっと見えた 俺は調査報告書を手に取ると、ぺらっとページを捲った 『父 楠木 莱斗』の文字をじっと眺めた 莱耶の父がライトだったなんて、知らなかった 『お前にも慈悲の心があったとは、な』という恵の言葉が引っ掛かって、調べた 調べて、頭が真っ白になった 莱耶の生活が厳しいのは、自分のせいだって知ってしまったから できれば知りたくなかった 自分が奪った生命に、新しい命がすでにあって…その子供たちが金に困って、生活苦の中、頑張っているなんて しかも、憎まれて当然の相手に好意を寄せられているなんて… 自分もその好意に満更でもない状態なのが、苦しい 莱耶が可愛いと思う そう思ってしまう己が憎らしいよ 莱耶は怒るだろうか? 俺を恨むだろうか? 実の両親を交通事故に見せかけて、俺が殺したと知ったら…きっと俺を軽蔑するのだろう 胸の奥が苦しい 俺が、殺したなんて…絶対に知られたくない 莱耶には、絶対に知ってもらいたくない あれは交通事故だったのだ そう…ただの交通事故だ ヤクとか組織とか関係ないんだ 俺は自嘲した笑みを浮かべてから、首を左右に振った 己の記憶が、操作できたらどんなに楽だろうか 楽じゃないから、苦しい 楽じゃないから、莱耶を全身で受け止められない 理性で止めてしまうんだ 莱耶の全てを奪ってしまったら…もう引き返せなくなりそうで怖い 過去を知った莱耶に、憎まれたくない 全てを曝け出した後に、莱耶が離れてしまったら…そう考えると、莱耶の想いを、両手を広げて受け止めてあげられない 「あ、ああっ、ん、んあっ」 莱耶が四つん這いになって、腰を高く突き上げる 俺が指を抜き差しするたびに、莱耶の甘い声が寝室に響いた 「ん、あっ、オーナー、入れて。お願い…オーナーの…」 莱耶が頬から汗を流しながら、俺の手を掴んで振り返った 色っぽい顔に、俺の胸が激しく高鳴る 随分と解れた莱耶の秘部が、俺の指に吸いつき、「もっと」と言わんばかりに、ヒクついている 重量感の増す俺の逸物を、莱耶の中に入れたら、さぞ気持ち良いだろう だが…入れるわけにはいかない
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