4 / 12
第4話
『はー、はー』
や…、やっと追いついた……
重かったぜ、こんちくしょーめっ!!
『ははは』
『豪太、おせーよ』
『落としてねぇかー?』
なんて笑う、悪友たち。
『お前ら……』
『さ、泳ぐかー!』
『おー!いこいこー!』
『女子の水着じゃー!』
『豪太、荷物番よろしくー!』
『あ……!おいっっ!!』
とっとと俺を置いていく悪友たち……
くそぉ…!
マジで重かったんだから少しは労れってんだ!
まったく、もう……
───って、荷物番なら脱がなくていいか…
とりあえず…助かった……
膝に手をつき、肩で息をしていたら
目の前に ヌッと タオルが現れた。
『……………?』
不思議に思って顔を上げると、そこには……
優しく微笑む天 使 が立っていた。
『お疲れさま、豪太』
と、額の汗を拭いてくれる。
『ひ、広海ぃ…♡』
うおぉぉぉ…!
荷物、運んでよかった……!
荷物番でよかった……!!
ありがとう、神様っっ!!
『あー、あっついねぇ』
広海が「よっこらしょ」と、俺の横に座る。
『お、女の子たちはいいのか?』
広海が傍にいるのが嬉しいクセに
さっき、女の子に囲まれてて悔しかった事、
1人置いてかれて寂しかった事……を思い出して
つい憎まれ口を叩いてしまう俺。
『んー?うん。トイレ行くって逃げてきた。
………なに?俺、女の子といた方がよかった?』
広海の目がスーッと細くなる。
(これは、広海が怒る前のサインなのである)
「──っ、んなワケないだろっ!!
俺は広海といたいし
広海が一緒じゃないと楽しくないっ!」
慌てて、言い訳…ではなく、本音をぶちまけると
『そう?よかった♪俺もだよ♡』
広海はいつもの優しい天使な笑顔に戻ってくれて
ホッと一安心。
それから暫くは2人してボーッと海を眺めて
泳がずして夏を満喫?していたのだけど……
『あー、楽しかったぁ』
『豪太、サンキュー』
『交代しようぜ~!』
悪友たちが戻ってきて、ピンチ再来…!
しかも、
『広海くぅん♪泳ごうよ~』
『海の中、気持ちいいよ♡』
またしても
女の子たちが広海を強引に海に連れていこうと
広海に群がり始めた。
うぐうぅぅぅ!
俺の広海にベタベタ触るんじゃねぇぇ!!
とか言ってやりたいところだけど
さすがにそれは……出来ない……
悔しいぃぃ…!!
『あー、めんどくさ……』
広海が低く呟いた。
(これは、かなり怒っているサインである)
『え?』
『なに?』
『誰?』
女の子たちは、まさか広海から発せられた声だとは
思ってもいないようでキョロキョロと辺りを見回している。
その間に、
女の子の手を振りほどき立ち上がった広海は
『豪太も一緒なら行くよ♡』
と、ニッコリ天使の微笑んで見せた。
おお!広海ぃ……ナイスリカバー!
────って……あり?
豪太も一緒なら……って…………
一緒に…………海に行くって事???
海に行くって事は………
服、脱がなきゃじゃんっっ!!
俺……っ…
俺ぇ……っ…
大ピンチじゃね!?
ともだちにシェアしよう!