7 / 12
第7話
ガーン……
怒らせた……
あの、海のように心の広い優しい広海を…
怒らせてしまった……
ガーン……
そうだ……
そうだよ…
広海は…俺の毛を「好き」って言ってくれて
「俺のクマさん♡」って胸毛に
すりすりするのが大好きで……
なのに俺は……
俺ってヤツは……
自分の勝手な都合で…思いつきで
剃って……
剃っ………
『ああああ……剃っちゃった……
俺のバカ…バカバカ………』
ツルツルの胸とお腹を見下ろし
自分のしでかしてしまった事の重大さに、凹む。
うー、どうしよう……
謝りに行った方がいいかなぁ……
でも「海に入っちゃダメ」って
言われちゃったしなぁ……
どうしよう……
砂浜を行ったり来たり、ウロウロしていると
前から歩いてきたマッチョな男に声をかけられた。
『あれー?豪太くんじゃないかっ』
『…………へ?』
見れば、ソイツは隣のクラスの
ムキムキ筋肉バカの異名を持つ
野球部のエースの……野……坂……っ!?
『────うっっ!』
な、
な、
なんじゃ、コイツ…!
全身モジャモジャッッ!!
俺より毛むくじゃらっっ!!
クマっていうか、ゴリラ!!
しかも、それをまったく隠す事もなく堂々と
歩いてる….っっ!
す、すげーっっ!!!
なんだ、コイツッ!!
『あれ、野坂じゃん』
『………へ?あ…』
そこに、現れたのは……愛しい俺の広海!
『ひ、ひろ……』
『あは。野坂、すごいね、胸毛~♪』
愛しい俺の広海…………は、
俺を完全にスルーして野坂に近づくと
野坂の胸毛をガン見しながら、ニッコリと笑った。
『───っっ!!』
ガーン!
『すごいだろー?触っていいぞ?』
『えー、いいの~?』
『────っっ!!』
ガガーン!!
ひ、広海が俺以外の毛を見て喜んでる……!
嬉しそうに笑ってる…!
そしてそして、触ってるーっ!!
ガーンッッ!!
ウ、ウソだ……!
ウソだ!やめてーっっ!!
広海ぃぃぃ!
カムバーック!!!
ともだちにシェアしよう!