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第3話
俺達は恋愛というものの敗者同士だった。
長く片思いをしていた高校からの男友達からの結婚報告を受けて、とうとう告白もしないまま失恋をした俺は一人の部屋に帰りたくなくて飲みに出た。
その日は熱帯夜なのに雨が降っていた。気持ちだけ置き去りのまま失恋した俺の心情を表した様な天気に渇いた笑みを浮かべてしまうくらいには、惨めな気分だった。
告白したところで実らない思いなのは分かっていた。だからずっと親友のポジションに居続けた。告白をもししていても、親友はいい奴だから真剣に考えてくれただろう。どうしたらいいか悩んで、俺の気持ちに応えられない事を申し訳なく思う筈だ。
そんな風に悩んだり苦しめたりなんて望んでいない。最初から親友の恋愛対象は女だと分かっていたのだ。いつか彼女が出来ることも、結婚することも、当たり前の話だ。
告白する勇気がないだけだろうと思われても構わない。振られるのが怖いのだろうと笑われても仕方ない。それよりも今の友人関係が壊れてしまう方が俺には何よりも恐ろしかったから。
所詮は言い訳でしかないのかもしれない。それでもこれで長かった片思いが終わるのだと思うと、内心、少しホッとしている自分もいた。
そんな事を一人、行きつけのバーのカウンター席でグラスを傾けながらグルグルと巡らせていると、隣に座った客と肘がぶつかってお互い顔を見合わせた。
それが今の彼との出逢い。そんな傷心な時に出逢った相手とまさかこんな関係になるとは、その時は思ってもみなかった。
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