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秘密の関係
さっきは自身に寄せられた唇を拒んでいたくせに無理矢理重ねた唇はしっとり柔らかくて、口内に侵入した舌先からねっとりと暑い熱に溶かされていく
頭を押さえ付けてする荒く乱暴な接吻を諭すように舌を絡み取られて、いつの間にか余裕に満ちたしなやかな動きに変えられていた
結局店長のペースに流されたまま絡み合う接吻は深く濃厚で熟れた果実のように甘くてドロドロに蕩けさせられるくらい気持ちがよくて、糸を引いて離れていく唇を再度自分の元へ引き戻しては何度も何度も口付けをして喉の奥深くまで犯していく
漸く主導権が自分の元へ来て、だんだん受け身になっていく店長のペニスの先端をグリグリと押し付ける様に指先で弄ってみると「んぅ――」と塞がれた口から甘い喘ぎが漏れて、それと同時に店長の背中が仰け反りドプッと俺の手の中に白濁が吐き出された
「うゎ、すごい量...」
はぁはぁと脱力した様に肩で息をする店長の目の前にどろどろの液体を纏った右手をかざして見せつける
「これ、綺麗にしてくれますか?」
「っ...」
ちょっとした嗜虐心から、勿論冗談のつもりで汚れた掌を店長の口元に近付けると一瞬顔を強張らせてから俺の指先にそっと自身の唇を触れさせた
え...まじで?
まさか真に受けるだなんて予想していなかったから自分から指示したのに阿呆みたいにぽかんと口を開いた
自身の指先に生温かい舌の感触が伝い、1本1本丁寧に舌先で掬い上げる様に舐め取られていく
ぺチャぺチャとやらしい音を立てながら精液塗れの右手が綺麗になっていき、時折ゴクリと喉を鳴らす音が耳に入り白濁を飲み込んだのが分かった
やっぱり自分の精液を口に入れるのは抵抗があったのか、くしゃりと歪んだ顔は羞恥と屈辱心が混ざり合っている様に見えた
「もういいっすよ」
備え付けてあるトイレットペーパーを契り、飲みきれずに店長の口の端から垂れ出した白濁を拭い取る
「ん...凪くん...」
想像もしていなかった店長の従順な姿が愛々しく思い、紅く熱を帯びた頬を手の甲でそっと撫でると顔が少し緩んで恍惚とした表情をみせた
さっきすれ違った黒髪の男にも自分から誘ってこんな姿を晒したのだろうか
求められたら誰の相手でもするのだろうか
この人は俺以外の男にも甘ったるい声を響かせて蕩けた表情をするんだ
なんて考えてたら何故か少し切ない気持ちになった
もう二度とこんな事をする日なんて訪れない筈なのに
「無茶させてすみませんでした...皆の所戻りましょうか」
精液やら唾液やらでベトベトになった店長の身体を濡らしたハンカチで軽く拭いて、乱れた衣類を正してからこの場を後にした
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