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とまどいながら【19】
『久しぶりなら、こっちの方が挿れやすいだろう』とシンさんは四つん這いになり、俺にケツを向けてきた。
ベッドに僅かに沈む膝を小さく開き、高さを調節するように腰だけを高く掲げる。
しなやかな曲線を描く肩から背中、そして腰までのラインがあんまり美しくて、思わずまじまじとその姿を見つめた。
とても煽情的でイヤらしいと思う。
だけどやっぱりシンさんは...何より綺麗だ......
「どしたん? やっぱり女より固そうな体やと萎える?」
俺に向けてというよりも、まるで自分を嘲るようにそう言うと、シンさんはわざとらしく腰を振りながらチラリと振り返る。
「そらそうか。ヤリチンの超ビッチとか、普通に考えたら気持ち悪いわな。せえけどまあ、ちゃんと定期的に検査は受けてるし、ここんとこは行きずりのセックスもしてへんから、少なくとも病気の方は心配せんでも大丈夫やで?」
なぜこの人は、時々こんな風に自分の事を悪し様に話すんだろう?
わざとらしく自分を貶めて、その一瞬だけ苦しそうな顔になるのにすぐに不敵な笑顔を見せる。
最初は俺に逃げ道を用意する為の態度なのかと思っていた。
けど、そうじゃない...たぶん。
他人から言われて傷つくのが嫌で、自らその言葉を先に吐き出してるんじゃないだろうか。
それを口にする事で傷ついて、だけど傷ついた自分を気づかれたくなくて更に虚勢を張る...そんな風に見えて仕方ない。
男が好きだなんて気持ちが悪いとでも言われた事があるんだろうか?
男とのセックスなんて本当はしたくなかったと言った奴でもいたんだろうか?
そして...そう言われるたびに傷ついてきたんだろうか?
俺はそんな事...欠片も思っていないというのに。
気持ちと体が昂りすぎて苦しいくらいなのに。
これ以上自分を傷つけるような事を言ってもらいたくなくて、そして少しでも俺の気持ちを伝えたくて、ガチガチになったモノをシンさんの奥まった場所にツンと擦り付ける。
「萎えてると思いますか? 萎えてる感じが少しでもありますか?」
敏感な場所が確かに俺の熱を感じたんだろう。
シンさんの顔は隠しきれないほど嬉しそうに綻ぶ。
自らケツを左右に開き、早く早くと急かすようにその奥を見せつけてきた。
「ちゃんと中綺麗やし、もう自分で適当にほぐしてきてあるから。面倒な事いらんし、はよぶち込んで......」
シンさんのそこは息をするように緩やかな収縮を繰り返し、左右に引っ張られて僅かに捲れた縁の内側には綺麗なピンクが時折覗いた。
「ローションもゴムも、そこのカバンに入ってるし......」
そう俺に言うシンさんの手を払い、俺の手でそこをより大きく開いた。
そのまま俺はそこに顔を寄せる。
躊躇いも戸惑いも無かった。
精一杯舌を伸ばすと、ほぐしたという言葉通りいくらか柔らかくなっている縁を舐め、その中心へと尖らせた舌を捩じ込む。
俺のその行動に驚いたのか、暴れながら体勢を崩すシンさんを強く押さえつけた。
抵抗にならない抵抗などものともせず、舌先にたっぷりと唾液を乗せてそれを丹念に周囲から中まで塗りつけていく。
よほど快感に弱いのか、すぐにシンさんの体の強張りは薄れていった。
「航生くん、アカンて...やめて、汚いから......」
「汚いとかそんなのどうでもいいんです。それに、ちゃんと綺麗に洗ってきてくれてるんでしょ? 気持ち良くないですか? 大切なのは気持ちいいかどうかでしょ? シンさんが気持ち良くないなら...止めますから」
舌で開いたそこにゆっくりと中指を差し入れていく。
以前勇輝さんから教わった...とにかく相手の反応を見るようにと。
ほんの少しの動きも見逃さず、とにかく相手の望む物をわかってやれと。
いっぱいまで腕を伸ばしてローションのボトルをカバンから取り出すと、ゆるゆると出し入れする指の根元にそれを垂らして中までたっぷりと潤していく。
グジグジと中を擦りながら、俺は大きく垂れ下がるタマをチロチロと舌先で弄び、空いた左手でシンさんのペニスを握った。
そこは萎える事もなく、熱をたっぷりと蓄えたままですっかり重たくなっている。
糸を引くように細く垂れる先走りをその先端に塗り付け裏側を擽るように撫でながら、ゆっくりと中を犯す指の数を増やしていった。
「ふっ...うん...アカン、航生くん...アカンて...止めて...あんまり優しいせんといて......」
「気持ちよくないですか?」
指の腹に、柔らかい襞とは違う物が触れる。
俺にとっては強すぎる刺激が快感に繋がりにくいその場所を、そっと押し込んだ。
途端に細い糸のようだった先走りが、ボタボタと驚くほど大粒の雫に変わって止まらなくなる。
そうか、シンさんはここでも感じられるんだ...それがわかってなんだか嬉しい。
指の動きを大きくしながら、少しだけ体を倒してシンさんの顔を覗き込んだ。
「気持ちよく...無いですか?」
「アカンて...あんまり気持ちよう...せんといて...俺...俺...また航生くんと...セックスしたなってしまう......」
前立腺への刺激を強くしながら、ペニスを撫で擦る手は止めない。
ずしりと一気に重さを増したそこは、もう限界が近い事を教えてくれる。
「じゃあこれからセックスしたくなった時は、いつでも俺を呼んでください。酒飲んで誰か探すとかしないで...ヤリたい時はいつでも。俺、どんな用事があっても必ず傍にいるようにしますから......」
一度だけ唇を噛み、スゥと息を吸う。
口にしたくない...本当は別の言葉を聞いて欲しい。
でも、本当の気持ちを言ってはいけない。
フゥと息を吐きながら、俺は中を擦る指先に力をこめ、ペニスを擦り上げる速度を上げていく。
「俺を...東京で最初のセフレにしてください。今はまだ下手くそですけど、これからシンさんをもっともっと感じさせます。だから...シンさんの感じる所、俺にいっぱい教えてください」
「ア、アカン...航生くん...航生くん...イッてまう...なんで...なんで......」
シンさんが口にした『なんで?』の意味はわからない。
ただ俺の指が食いちぎられそうなほどに締め付けられた途端シンさんの体はビクビクと震え、俺の手だけでなくシンさんの胸の辺りにまで白濁が飛び散った。
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