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とまどいながら【21】

ズブズブとめり込んでいくペニスに合わせるように、シンさんはさっきまでよりも小さく『アッ、アッ』と少しだけ高い声を出した。 男の喘ぎ声なんて気持ち悪いと思っていたのはそれほど前の話じゃない。 女になんてなれるわけでもないのに女のように嬌声を上げ、感じてもいないのに無理矢理ペニスを自ら扱いて感じているフリをしている姿は、気持ち悪いどころかどこか滑稽にすら見えていた。 だからこそ、俺は感じているフリをする事も、偽りの嬌声を上げる事もできなかった。 変わったのは、やっぱりあの人達のセックスを見てからだ。 激しく攻め立てるような行為。 俺の存在を気にして抑えようとしながらも抑えきれず、次第に欲を隠せなくなっていった甘くて切なげな声。 本当に大切な人に抱かれ、本当の快感に溺れた時には、作り物の激しい喘ぎ声というのは出ないのだと教えられた。 そして今俺の下にいる人は、俺の動きに合わせるように控えめに、だけどひどく熱い吐息混じりの声を聞かせてくれている。 その控えめさこそが、僅かでもちゃんと感じてくれている証拠のようで嬉しい。 強い抵抗を感じながらも、俺はゆっくりと確実に奥を目指す。 中ほどを過ぎた所で、シンさんの背中が無言のままクンと大きくしなった。 高く掲げた尻を懸命に支えている内腿が、何かを堪えるようにビクビクと震えている。 その背中に唇を落としながら、そっと指を前に回してみた。 指に触れた昂りからは、糸を引くほどに蜜が滴っている。 ...あ、そうだ...シンさんはここが感じる人だったっけ...... 相手をひたすら見てやれと教わった。 相手の望む事をとにかく考えろと教わった。 だったら、この背中が声が蜜が内腿が、何より俺を包み込む粘膜が俺に教えてくれるのは、更なる強い刺激と快感。 「シンさん...今俺のが...中にあるのわかりますか?」 仰け反る背中に胸を合わせ、のし掛かるようにしながら耳朶を優しく食む。 それだけで俺と繋がった場所はキュウと痛いくらいに力が込められた。 「俺の、わかりますか? どんな形してて、どれくらい硬くなってて、どれほどあなたを欲しがってるか...わかりますか?」 入り口はキュウキュウと不規則な締め付けを繰り返し、俺を包む内襞はウネウネと形を変え始めた。 体の外も中も、どこもかしこも隙間なくピタリと合わさる不思議な感覚。 今シンさんの体内は、間違いなく俺のモノの形そのものになっているのだと実感する。 そして微かに震え続ける体は、その事を喜んでいるように思えた。 シンさんの姿に、胸の奥から沸々と熱く暗い欲が沸き上がってくる。 それに名前を付けるなら、間違いなく『独占欲』だ。 この体もこの声も、吐き出す息ですら俺の為の物だと言って欲しい...... 勿論それは叶わないとわかってはいるけれど。 「ねえ、シンさん...俺がわかりますか?」 「わか...る...熱いし...すごい硬い......」 「もっともっと俺のに集中してください。もっともっと俺の熱を感じてください」 少し痕が残りそうなほどの力でうなじに吸い付けば、俺を締め付ける力は更に強くなる。 その自らの反応がシンさんにより強い快感を与えたのか、今度は突っ張っていた腕を崩し背中を丸めて枕に顔を埋めてしまった。 「っふぅ...ん...あぁ......」 くぐもった声しか聞こえなくなり、それが少し寂しい。 俺はその枕を掴むとベッドの下へと放り捨て、腕ごと体を起こさせて強く抱き締めた。 「俺の、いっぱい感じてくださいね......」 身動きが取れないようにしておいて、腰を一気に引く。 抱き締めている事で俺の動きも制限されているらしく、それが抜け落ちるような事はない。 思った通りの場所で俺の先端は止まり、腕の中のシンさんの体が強張った。 その先端の留まる辺りを捏ねるようにしながら、ゆるくしつこく腰を小刻みに揺らす。 「あっ...あぁ...アカン、アカンて...やめて...そこ、ほんまに...ほんまやめて......」 まるで許しを乞うように吐き出される言葉がやけに心地好い。 たぶん演技なんかじゃない...そう思う。 過ぎる快感を逃そうと捩らせる体と、遠慮がちに拒絶する声は、今だけは俺に溺れてくれている証拠なんじゃないか。 もっと溺れて...... ずっとずっと俺だけを見て...... 口にする勇気の無い言葉の代わりに、腹側を強く抉るようにしながらグイと奥までモノを押し込む。 「あっ、あ...あぁっ...う、そや...アカン...イヤ、あっ...なんで...アカン...」 ストロークのスピードを上げると、今にも泣き出しそうな切なげな声が聞こえた。 その声があまりに可愛くてイヤらしくて、ますます欲が煽られる。 パンッパンッと強く肌を打ち付ける音と、繋がった場所から響くニチニチとした粘着質な音。 俺の腕から逃げようとする力は増し、それでも逃げられなくてピクピクとシンさんの体は痙攣を起こし始めた。 「前、触りましょうか?」 「い、いらん...あっ、わかれへん...このまま...このままイカせて...あ、違う...なんや...アカン、怖い...航生くん......」 「俺がいます...怖がらないで」 何を怖がっているのかわからない。 だけど、怖いと俺に縋りつつもこのままイカせて欲しいとねだってくれている。 抱き締めていた腕をほどきシンさんの体を自由にしてやると、改めて腰を高く掲げさせた。 その綺麗な腰を一度さらりと撫で、そしてそこを指が食い込むほどの力で掴む。 膝立ちの自分の腰の位置とシンさんの体勢とを確認し、焦らないようにゆっくりと息を吐いた。 「いっぱい感じて...俺を......」 小さく呟いた言葉が聞こえたかのように、目尻を赤くしたシンさんが頼り無げに振り返る。 「きて...いっぱい感じさせて...もう壊れてもエエから......」 その瞬間、俺の中の張り詰めていた何かがプツンと切れた。 ...壊れるくらい、精一杯愛します...... 俺は自分のモノを最奥へと躊躇なく叩きつける。 体を震わせ力が抜け、体勢が崩れても俺は腰の動きを止めない。 「航生...くん.....」 甘い吐息のような声が聞こえ、シンさんの傍らに着いた俺の指がキュッと握られる。 「...っはぁっ...航生くん...イくぅ...」 小さくそれだけ言うとシンさんの痙攣のような震えが大きくなり、俺を飲み込みそうな力で締め付け、そして...荒い息と共にその体からはゆっくりと力が抜けていった。

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