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悋気は恋慕に火を灯す【7】

キスを深くしながら、武蔵の服を脱がせにかかる。 俺のんと同じようにダボダボのデニムをギュッと締め付けてるベルトに手をかけた。 上から中心を触ってみたら、なんとな~くは大きなってるらしい。 そこを柔く揉みしだき、クチュクチュと音をさせて舌を絡めた。 不意に武蔵の雰囲気が変わる。 何って具体的なわけやないけど、表情も俺の腰に回された手も、どことなく俺を誘ってるみたいやった。 俺の舌に酔ってるみたいに顔を赤らめて、さっきまでの顔が嘘みたいに丸っきり甘えん坊のネコそのものの空気を漂わせる。 いきなりの変わりようにちょっと戸惑ったけど、一瞬チラリと窺うみたいに動いた目線がその理由を教えてくれた。 大原さんが少しだけ位置を変え、肩に乗せたカメラのレンズが真っ直ぐに俺らの方に向けられてる。 ひょっとしたら絡まり合う舌の動きにズームされてるんかもしれん。 なるほど...これがカメラの前で『見せる』セックスをするって事か。 自分と相手が楽しむんやなく、わざわざ高い金を払ってまで観てくれる人を悦ばせてなんぼ。 せえから武蔵は、俺にイヤらしく喘がされる為の顔と雰囲気に変えたんや。 実際今俺に組み敷かれた武蔵の表情は、快感を与える側やなく与えられる側の顔そのものやった。 ノンケや。 普段は『抱く』立場の男や。 それでもすっかり『抱かれる』為の人間へと変わってる。 これが大原さんの言うてた『プロとしての仕事』なんやって事に驚くと同時に、この武蔵に対して尊敬に近い思いが湧いてきた。 コイツ、めっちゃカッコええな...... 初めての撮影でまだ色々と慣れてない俺に、今日のところはそれほどの物は求められてないやろう。 しかし、それはそれ。 これまで自分の快感はそっちのけにしてでも相手を悦ばせる仕事をしてきた...なんてちっぽけでも譲られへんプライドがある。 ほんのちょっとだけ気合いを入れ、大原さんとジュディさんの位置を確認すると、武蔵にニッと笑いかけた。 「めっちゃエエ顔。もっとイヤらしい顔にしてもかめへん?」 「はぁぁっ...んっ...かめへん、もっともっと...気持ちようして......」 顔に似合わん子供っぽい声やと思うたけど、こうしてネコの立場で甘えてねだる時にはちょっとグッとくる。 俺の好みとはちょっと違うものの、タチとして悪い気はせえへんかった。 体を起こして武蔵の胸の辺りに跨がると、さっきボタンの外されたシャツを脱ぎ捨てた。 少しだけ首を上げた武蔵に見せつけるみたいにベルトをゆっくりと弛め、デニムのホックを外していく。 跨がったまんまでその武蔵の顔の方までにじり寄っていき、下着の露になった股間をそこへと押し付けた。 「気持ちようにしたるからさあ...先にちょっとだけ俺を気持ちようしてよ」 作り物やなく、ほんまにちょっと興奮して声が震えた。 まだ完勃ちとは言えんけど、それなりに主張を始めてるソコ。 それを顔に押し付けられた武蔵は、嫌がるどころか嬉しそうにニコリと笑った。 唾液をたっぷりと乗せた舌を伸ばし、派手な下着の上からチロチロと舐め始める。 その唾液を吸い込み、下着はすぐに色を変えた。 大原さんが単純に派手好きなだけかと思うてたけど、こんな蛍光色の下着に着替えさせられた事にも理由があったんやと気づく。 水分を含んだ途端、俺のモノの色も形もそこにくっきりと浮かび上がった。 裏物ではなく、一応日本国内で正規に販売するなら男も女も局部には修正をかけなあかん。 普通はモザイクって事になるんやろうけど、こうして下着を着けていれば中身の様子はしっかりわかるのに修正の必要は無いわけか。 元の色が鮮やかな黄緑なだけに、濡れたそこはやたら淫靡に黒々として見えた。 法律の網の抜け方やら、観てる人の悦ばせ方やら、色々と工夫してるんやなぁと改めて感心する。 ついでに、この仕事でプロになるって事にちょっとずつ興味が出てきた。 「ありがと。見てみ? 可愛いにペロペロしてくれたから、俺のん元気なってきたで。そしたら俺も、武蔵の事気持ちようしたるわな」 俺の言葉に、武蔵が下着のゴムベルトをちょっとだけずらして、プクッと膨らんだ頭のとこだけを外に出す。 まだ下着の中に隠れてる根元の方から飛び出した頭へ、ゆっくりねっとり舌を這わされて、気持ちエエやらじれったいやらでチンコがムズムズする。 跨がったままやった脚を武蔵の頭の横に移動させ、俺は武蔵の股間の方へと体を倒した。 ...あ...今、大原さんのカメラ...俺の方向いてる...... まだ何が正解なんかはわかれへんけど、あのカメラの先におる人を意識せなあかんてのはさっき武蔵の仕草で教えてもうた。 まだ一歩踏み出したばっかりのヒヨッコやけど、それでもプロなら魅せなあかん。 「ほら、脱がしたるから腰上げて」 「そしたらアスカも...腰上げてぇや」 お互いが次の行動に移りやすいように交互に腰を浮かせ、デニムも下着も一気に脱がせ合った。 俺のを舐めながら少しは興奮したんか、武蔵のチンコはさっきちょっと触った時よりも大きなってる。 メッチャ大きいわけでもメッチャ長いわけでも無いけど、でもカリが結構でかくてなかなかの好みかもかもしれん。 触れるか触れないかぐらいの力で裏側をなぞったら、ムクムクッて頭がますます大きなった。 その先端を、舌の先でチョンチョンとつついてみる。 プクッて滲んできた透明な汁を舌に乗せてゆっくり顔を離したら、俺の舌先を追っかけるみたいにその汁はツッと糸になって伸びた。 ......なるほど、こういう事ね。 今の瞬間、レンズは俺の口許にズームされてた...と思う。 ちゃんと感じてる、感じさせてるってのをわかりやすく伝えられる部分を少し強調して見せなあかんねんなと確信した。 「アスカ、俺の腿に頭乗せて? 俺も乗せてエエ?」 武蔵の言葉に従い、頭を腿に乗せ合う。 一方的に奉仕する立場である事が多かった俺。 シックスナインの形になる事自体にちょっとワクワクする。 おまけに目の前にあるのは、ノンケのくせに俺に興奮して先走り垂らしてる、大好物のカリ太チンコ。 またプックリ出てきた雫をチュッと吸い、口を大きく開けた。 俺のも熱い熱い粘膜に包まれる。 だんだんとお互いの口内の感触に夢中になっていく俺達のすぐそばには、いつの間にかジュディさんの覗く小さなカメラが近づいていた。

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