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悋気は恋慕に火を灯す【45】

俺は航生くん自身を、航生くんは俺自身を口に含み、お互いを必死に愛撫しあう。 部屋の中に響くのは、湿って粘り気を帯びたような水音と、鼻しか使えない荒い呼吸の音だけ。 太く、先端の大きく膨らんだ航生くんのチンチンを喉の深い所まで飲み込むんは正直苦しい。 せえけど、その苦しさごと快感に繋がってるらしくて、俺はすすんで嘔吐く直前の所まで必死に咥えてた。 力を入れて唇を窄めてるつもりでも、ダラダラと唾液は溢れて竿全体を濡らしていく。 自分にとって深くて苦しい所を突かれれば突かれるだけ溢れる唾液には粘り気が混じり、全体を扱く手はどんどん動かしやすなった。 一方航生くんのフェラはと言えば、正直上手いもんやない。 唇の締め付けも弛いし、舌の動かし方もぎこちない。 ただ、なんでやろう...こんな気持ちのええフェラチオは初めてかもしれん。 最初のうちは、俺が航生くんに対して抱き始めてる思いのせいなんかなぁと思ってた。 初めて見たあの日からずっと焦がれ続けた瑠威と...いや、航生くんとこうしてお互いの体を愛し合ってるって事実に、気持ちが昂り過ぎてるせいなんかなって。 けど...たぶん違う。 航生くん自身にテクニックは無いけど、ただ俺の反応をちゃんと見てるんやと思う。 最初から『どこをどうしたら気持ちエエんか』なんてのがわかるほどの経験は無いから、まずは色んな場所を色んな力具合で愛撫する。 その中で俺の体が一番喜ぶ場所を探して、ちゃんと見つけてくれてるんちゃうやろうか。 ほら、今も...竿をゆっくり舐め上げてみて俺があんまり反応せえへんって気づいたら、今度は裏筋から鈴口までを擽るみたいに舌の先でつついてきてる。 別に今日は撮影やないし、感じてるってのを大袈裟に表現してるつもりはない。 いやそれどころか、できるだけ冷静を装う為に、普段より反応を抑えてるくらいかもしれん。 でも、どこかで俺が感じてるかどうか、ちゃんとわかってくれてんねん...チンチンの先がちょっと揺れるとか、先がプクッて一瞬大きなるとか、肌が粟立つとか。 ううん、俺は必死に抑えてるつもりでも、結局航生くんへの思いが強すぎて抑えきれてないんかも。 もっと触って、もっと舐めて...って、情けないくらいにわかりやすいサイン出してんのかな? ついつい航生くんの動きに意識がいってもうて、自分の動きがおろそかになる。 たまに思い出しては大きく舌を蠢かし、激しく竿を扱いてみるものの、すぐに手は止まり航生くんの行為に集中してしまった。 俺の愛撫が緩慢になっても、航生くんのチンチンが萎える様子は無い。 俺との事に興奮してくれてるからなら嬉しいな...時々先っちょから伝ってくるちょっと苦い雫を舌で掬いながら、やっぱり意識は航生くんの舌の動きと熱い吐息に向かってしまう。 そのうち、航生くんの動きが少し変わった。 さっきまでつつくくらいやったのに鈴口に舌の先をグリグリと強く押し付けてくる。 竿全体やなく、裏側に指の腹が当たるように大きく扱く。 唇を雁首を引っ掛けたままで、チュプチュプと唾液を纏わせるみたいに小さく早く頭を動かす。 ......そのどれもが俺の極端に弱い所... いきなりのその動作の変化に、一瞬頭の中がパニックを起こした。 思わず航生くんの口の中にチンチンを打ち付けそうになり、慌てて腰をペチペチとタップする。 ......俺のエエ所...見つけた? ちょっと航生くんが怖なってきた。 確かにフェラは上手やない。 キスかて正直まだまだで、あんなん武蔵に比べたら子供のおままごとみたいなもんかもしれん。 ただ、相手の悦ぶ場所を見つけるのが...抜群に...上手い? そしてその悦ぶ場所を見つけた途端、多くはないテクニックを総動員してそこを一気に攻めてくる。 上手やないからこそ加減を知らん。 ただひたすら一生懸命。 あのまま続けられてたら、たぶん俺は大した我慢もできへんまんま、航生くんの口の中にザーメン撒き散らしてたやろう。 ゾクゾクする。 そんな風に航生くんを汚したないって自分と、航生くんの手でそこまで感じさせてもらいたいって自分がおる事に。 今は辛うじて...『汚したない』って考える、ちょっとだけ綺麗な俺が勝った。 腰へのタップで、航生くんはものすごい申し訳なさそうに俺のチンチンから顔と手を離す。 「す、すいませんっ! な、なんか俺、バカみたいに夢中になっちゃって...あの、気持ちよくなかったですか? どっか傷つけたりしてないですか?」 フフッ、航生くんは...謝る時まで必死や。 俺はおかしなってきて、『アホやなぁ』って笑いながら言ってやる。 「気持ち良すぎてイッてまいそうになってんで? せっかく航生くんとこうしてんのに、俺だけ航生くんの口の中なんか出してもうたら勿体ないやろ?」 ゆっくり体を起こし、改めて航生くんに覆い被さった。 髪の毛に指を通しながら、またそっと唇を重ねる。 突然、航生くんが俺の体を強く抱き締めてきた。 さっきまでとは違い、航生くんの方からグイグイ舌を差し入れてくる。 その舌は上顎を擦り、頬の内側をまんべんなく舐め、そして俺の舌をしっかりと絡め取った。 ......ほら、やっぱり... さっきのキスで、俺の感じる場所と俺の感じるキスを覚えた? もっと俺の事覚えて...... もっと俺の事感じさせて...... 気持ちいいセックスを教えてやるなんて、なんかもうどうでもええ。 ただ航生くんが俺をしっかり見て感じてくれてんのが...嬉しい...... 掻き抱くような激しさで髪の毛を撫で回され、俺の口から滴る二人分の唾液をそのまま啜ってくれることに、体と心が泣きそうなほど昂った。 このまま...時間が止まったらエエのに...... このまま...二人が溶けて混じり合えたらエエのに...... そのうち、俺の口の中からゆっくりと熱い舌が逃げていき、その顔も少しずつ距離を取りだした。 あ、セックスの先生に...ゲイビの先輩に戻らな...... けれど、どうしても気持ちが『航生くんが大好きな俺』から戻られへん。 激しくて嬉しくて気持ち良すぎたキスのせいで、体に力が入れへん。 そのまま動かへん俺を上に乗せたまま、急に航生くんが腹筋だけで上半身を起こした。 勢いに任せるみたいに俺をポフンてベッドに逆に押し倒す。 上から俺を見つめる航生くんはどこか野生の獣みたいなギラギラした目をしてて、なんならいっそこのまま骨まで食い尽くしてくれへんかなぁって、俺はまたうっとりとしてた。

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