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悋気は恋慕に火を灯す【46】

さてさて...こうして航生くんの肩越しに天井を見るような格好になって、どれくらい経ったやろうか。 ギラギラしてると感じた航生くんの目は、いつの間にか困ったような戸惑ったような、キョドキョドしたモンに変わった。 俺の方も、『ああ、食われてまう』『骨までしゃぶり尽くして』なんてドキドキしながら考えてたはずやったけど...さすがに肉食獣からどんどん草食の小動物みたいな目になっていけば、少しは冷静にもなる。 アワアワしてる航生くんもやっぱり可愛くてエエんよな...なんて、チンチン勃起させたまんまで心の底からほのぼのしてみたり。 なんか思うところがあって俺を押し倒したんやろうなぁ...... んで、こんな体勢になってはみたものの、こっからどうしたらええんかわかれへんようになったんかな? しばらくそのまま黙って見てたけど、どうにも上手いこと言葉が出てけえへんらしい。 「どしたん?」 気にせんと言うたらええんやでって、下から手を伸ばして髪の毛をフワフワ撫でてやる。 航生くんなりに落ち着こうとしてんのか、肩が大きく上下して、何回か深呼吸してんのがわかった。 すぅ~と息をゆっくり吸うたところで、キョドキョドしたまんまでも航生くんの顔つきがちょっと変わる。 「あ、あのっ!」 勢い込んで力が入りすぎたんか、ちょっと音量がバカになってる。 でも、ここでからかってまうとまた口をつぐんでしまいそうやから、俺はそのまんまニコニコ顔を崩さんと首だけを傾げた。 「お、俺...ほんとに男の人とのセックス...久しぶり...なんです......」 「うん、知ってるで?」 「あ、あの...それで...あの、撮影まで...ほら、もうあんまり時間て無いじゃないですか......」 ああ、そうか...うん、なるほど。 どうも航生くんはちょっと勘違いしてたらしい。 いや、違うな...俺が勘違いさせてもうたんか? 「んもう、航生くんはほんま可愛いなぁ...そない緊張せんでもエエんやで? 久しぶりやから、男とヤるって感覚を思い出したいんやんな? ちゃう?」 「あ、はいっ、そうです。えっと、できれば...抱くのも、抱かれるのも......」 「ん? そしたら今日リバってみる? せえけど久々やのに大丈夫?」 俺の答えに航生くんのアワアワが激しなる。 いやいや、そない慌てんでも...... 「ごめんごめん、あんまり可愛かったんでちょっとからこうてもうた。心配せんでも、航生くんに嫌な思いはさせへんて言うたやん...俺も最初からそのつもりやってんで? そんなん、いきなりリバなんてやらせへんよ」 そんな事、航生くんの方から言い出してくれるやなんて思ってもなかった。 俺が考えてる通りなら、航生くんと俺の関係は...この一晩だけの思い出やなくなるってことやんな? 少なくとも、あと一日はこうして...... 「航生くんが嫌やないんやったら、今日は謙介として瞬を愛してよ。で、明日は俺に、悠として謙介を愛させて?」 航生くんの目がキョドキョドからキラキラに変わる。 ああ、やっぱりそう言いたかったんや。 抱きたいし抱かれたいって。 少なくとも二日は俺とベッドを共にしたいって思うてもらえた...その事が嬉しい。 「いい...んですか......?」 もしかして航生くんは、俺に抱かれようとしてくれてたんかな? ひょっとすると、そのつもりで自分なりに気持ちも体も準備してくれてたんかもしれん。 せえから俺が『今日は抱いて』って言うたら『いいのか?』って聞いてるんや。 俺が航生くんを抱くつもりで、航生くんは俺に抱かれるつもりでおったし、ちゃんと覚悟もできてたのに? でも、キスしてフェラし合ってお互いを昂らせてたら...だんだんと俺を『抱きたい』って思いだした? ......男の俺を抱きたいって。 嬉しい。 嫌がられてるんちゃうかってドキドキしてたのに、航生くんは嫌がるどころか俺を欲しいと思ってくれてる。 抱かれたい...抱かれたい...... 俺の全部を航生くんにあげたい...... 全部を暴かれたい...... 上から見つめる首に腕を回して引き寄せると、ギュッと航生くんの頭を胸の中に抱え込む。 「俺、最初からね...今日は航生くんに抱かれたいって思うててん。せえから、ちゃんと中も全部綺麗にしてあんねんで? 謙介になりきってもかめへんし、航生くんのまんまでもかめへん。自分の思うように...俺の事、愛してくれる?」 腕の中の航生くんの頭がピクリと揺れる。 胸元からそっと離れていくのを、俺は止めへんかった。 また上から...でもさっきよりもずっと近い距離で航生くんは真っ直ぐに俺の目を覗き込んでくる。 俺もその目から視線を逸らしたりせえへん。 「下手くそだと思います。先に謝っておきます。だけど...全力で愛します」 素直な言葉が胸に染みてくる。 航生くんが全力で愛すのは、俺やなくて瞬やってわかってんのに...その素直さに勘違いしそうや。 でも、勘違いでもなんでもかめへん。 その全力の愛を受け止められる幸せに、収まりかけてた熱がまたグルグル身体中を回り出す。 航生くんの顔がゆっくりと下りてきて、俺の首筋に唇を押し付けてきた。 さっき俺がやってたみたいに舌で道筋を辿りながら鎖骨を啜り、そのまま胸元まで下がってくる。 熱い舌が乳首を包み込んだ。 元々それなりに開発された体。 ほんのちょっとの刺激でもすぐにザワと全身は粟立つ。 航生くんの舌使いはやっぱりぎこちなくて、それでも的確に俺の求める物を見つけるらしい。 片方は優しく口に含み舌で丁寧に転がし、もう片方は爪の先で痛いくらいに摘まみ捻り上げる。 ちょっと痛ぁて、せえけどそれよりもうんと気持ちようて、自然と弛んだ唇からは吐息って言うには変に甘ったるい大きな息が漏れた。 「あ...シンさんも...乳首感じるんですね......」 固く尖ったそこを見て少し恥ずかしそうに、せえけどめっちゃ嬉しそうにニカッと笑ってくる。 いやいや、感じるのわかってたから乳首責めてたんちゃうんかい...... ツッコミの一つも入れたなるけど、航生くんの爪が時々ギリッて軽く食い込んできて、なんかそれどころやない。 俺の真似っこしてるだけなんやろうけど、航生くんがしてるからなんかそれとも力加減が絶妙なんか、もう背中も腰もピクピク震えてしゃあなかった。 乳首の責め方なんか教えるんやなかった...絶対今、俺のチンチン濡れてるし...早よ中に欲しいて堪らんようになってくるし。 「航生くん...なあ、航生くん......」 お気に入りのオモチャでも見つけたみたいに相変わらず俺の乳首を舐めて捏ね続ける航生くんの髪の毛をピンッて引っ張る。 「そろそろ...乳首で遊ぶん止めて...俺の中で遊んでくれへん...かな? もうメッチャ航生くんが欲しいんやけど......」 マジで、あのまま続けられたら乳首舐められながら絶対自分で扱き出すし。 そんくらい、ほんまに我慢できへんかったんやもん。 言われて、航生くんが『ハッ』とした顔をした。 ......あ、また夢中になりすぎててわけわからんようになってたわけね... ほんまに加減を知らんねんな...... 加減を知らんセックスって...どんなんやろう...... 背中がゾクゾクすんのを感じながら航生くんの下から抜け出し、俺は頭をベッドヘッドの方に向けて航生くんにケツを突き出した。

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