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悋気は恋慕に火を灯す【48】

航生くんの舌で丁寧に拓かれた穴に、ズズズッて指が入ってきた。 長うて節くれた、あの男らしい綺麗な指が...... さっきまでとおんなじで中を探るように、俺の反応を窺うようにそっとそっと粘膜のあちこちを擦り、更にそっとそっと押し入ってくる。 奥の方まではけえへん。 少し指を差し入れてはそこをグジグジと弄って引き抜く。 また中に入り、ちょっとだけ奥まで進んだらまた引き抜く。 そんな事をしばらく繰り返すと、中に指を収めたまんまゴソゴソって動く気配がして、パチンと乾いたプラスチックの音が響いた。 中に突っ込んだまんまの指を伝わせるようにローションを流し込んできたら、今度はさっきまでよりもうちょい奥まで指が届く。 もっと強く、もっと奥に欲しい...そんな風に思ってるのに、航生くんの指は変わらず優しいに中をゆるゆると擦り続けた。 奥への刺激の代わりなんか...穴とタマの間にフッと息がかかり、後ろから垂れ下がった部分をチロチロと舐められた。 左手はそっと前に回され、はしたないくらい充血したまんまの俺のチンチンをクイと軽く扱く。 思ってる以上に先走りが溢れてきてんのか、裏筋を撫でる指がヌルヌルと絶妙にヌメる。 ......それやと温いねん...もっと...もっとして... 十分に柔らかなってきたと判断したんか、ようやっと中を拓く為の指が増やされた。 ほんまに十分過ぎるくらい丁寧に扱われて、苦痛も圧迫感もなんも無い。 でも...辛いくらいがええねん。 俺は苦しいほど...痛いほど激しいにして欲しいねん。 わけがわからんようになるくらいメチャクチャにして、俺が俺のまんまじゃおられへんくらいにして欲しいねん。 あんまり温すぎて...優しすぎて...... こんな優しいのがセックスやなんて体が覚えてもうたら、俺もう...... 「フゥッ...ンッ...アカン...アカンて、航生くん...止めて...お願いやから...優しいせんといて......」 「気持ち良くないですか?」 中を弄る指の動きが大きいなる。 その指は腹側の一点を狙うみたいにしてギュウギュウと襞を押し、3本に増えてた指がそこを中心に粘膜を強くグリグリと抉ってきた。 途端に体が強張り、内腿がピクピクと震える。 思わずケツにもキュッと力を込めてしまい、中を抉り続ける航生くんの指をハッキリと意識して頭がボーッとしてきた。 航生くんの指先は、まるで宝物でも見つけたと言わんばかりにそこばかりを攻めてくる。 さっきまであんなに温い愛撫しかせえへんかったくせに...航生くん、ズルい。 んで、わけがわかれへんくらい激しいにしてもうたら俺が俺やなくなるって思うてた、俺はアホや。 激しいされても俺は俺のまま...航生くんに溺れていくのを怖がってる...俺のまま...... 「気持ちよく...ないですか?」 前も後ろも好き勝手に弄りながら、航生くんはゆっくりと体を倒して俺の耳許に吐息と併せて囁いた。 その声に何より感じてしまい、自分でもわかるくらいにチンチンが重うなってくる。 ケツの穴の入り口も中も、キュウキュウと航生くんの指を締め付けていく。 「アカン...て...アカンねん...あんまり気持ちよう...せんといて...俺...俺、また航生くんと...セックスしたなってまう......」 気持ちようなんてされたなかった。 俺が航生くんを気持ちようにしてやれるだけで良かった。 航生くんさえ気持ちようなってくれたら...それで良かったのに...... これ以上されたらほんまに溺れてまう...航生くんとのセックスに...そして、航生くんという存在に...... まるで俺の言葉に反応したように、前立腺への刺激が強なった。 チンチンを扱く速度も、ドンドン早なっていく。 耳許で『ゴクン』て唾を飲み込む音が聞こえた。 「これから、セックスしたくなった時は俺を呼んでください。酒飲んで誰か探すなんてしないで...ヤりたいって思ったらいつでも構いませんから。俺、どんな用事があったって、必ずそばにいますから......」 航生くん、ほんまにズルい。 俺が航生くんの声に弱いって、絶対気づいてるやろ? その大好きな声が耳を震わせるたびに、ますます俺の中の熱がせり上がってくる。 航生くん、自分で何を言うてるかわかってる? 俺のそばにおるって...いつでも呼べって...どういうつもりなん? もしかして、俺が航生くんの声だけやなく航生くん自身に惹かれて焦がれてしゃあないってバレてもうたんかなぁ...... 俺の気持ちわかってて、その上でそんな風に言うてんの? ......まさかな...いや、そんなはずない...でももしかしたら、航生くんも俺の事... 「俺を東京での...最初のセフレにしてください。今はまだ下手くそですけど...シンさんをもっともっと感じさせてあげます...これから。だからシンさんの感じる所、いっぱい教えてください」 ......東京の...最初の...セフレ? セフレ? あ、そうか...俺とセックスする関係は...とりあえず続けたい...のか。 気持ちは無いけど、体だけは...って事? 少なくとも俺とセックスはしたいって事なん? いや、そしたら気持ちは? 一緒にこれからも時々はこうやって肌を合わせられるんやったら、今は喜ぶべきなん? 気持ちさえ求めへんかったらええって意味? 俺は...俺はどうすんのが正解なん? 俺の体を追い詰める航生くんの手の動きは一層激しくなる。 頭の中は靄がかかったみたいに、なんも考えられへんようになってきた。 「アカン...アカンッ...航生くん...航生くん...イく...イッてまう...なんで...なん...で......」 快感が強すぎたんか、セフレになるって言われたのが辛かったんかはわかれへんけど、勝手に涙が滲んできた。 なんで航生くんは...セフレになりたいやなんて言うたんやろう...... なんで航生くんは...俺のそばにいつでもおるなんて言うたんやろう...... 航生くん、なんで? 胸の中で繰り返す質問に回答なんてあるわけもなく、航生くんの真意も気持ちも何にもわかれへんまま、半ば無理矢理与えられた快感に震えながら俺はそのまま精液を撒き散らした。

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