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悋気は恋慕に火を灯す【51】
ズブズブとゆっくり、確実に航生くんの物が俺の中へと押し入ってくる。
体を起こし、少し高い位置からベッドに這いつくばってる俺をまたじっと観察してるんやろうか......
ローションのヌメりを借りても窮屈なそこをクイクイ軽く擦り広げながら、時々背中を指先が擽っていく。
そんなとこ、別に性感帯やなんて感じた事無かったんやけどな。
なのに航生くんの指が滑っていくだけでメチャメチャ気持ちようて、でもやっぱりちょっとだけ擽ったくて、背中から腰までをくねらせてしまう。
それが面白いんか、中を緩かに擦る動きはそのまんま、指先で数えるみたいにトツトツと背骨をなぞり始めた。
指が腰に近づくたびに、ジーンと甘い痺れが走る。
腰まで下りてきたら、その指はまたゆっくりと背中を上がっていった。
腰の痺れはすぐに引いていく。
また指が下りてくればさっきよりも痺れは少し強なってて、指が離れていってもその痺れは微かに腰に残ってた。
何度か同じ事を繰り返されれば、ちょっとずつ蓄積された痺れは明らかに快感に変わっていると自覚する。
触ってもない俺のチンチンは、ポタポタと情けない雫を溢しだした。
指から逃げるみたいに腰を揺らすたびに、その溢れた雫がピチッピチッと腹や腿に飛び散る。
「シンさん、ほんとに...ほんとに綺麗です...すごくイヤらしくて......」
感極まるみたいに航生くんが言ってくれるから、その言葉に俺の体はますます昂っていく。
俺の体で興奮してくれてんねんな......
こんな俺でも綺麗やって思うてくれんねんな......
航生くんの声に感じて、言葉にも感じて、背中に触れる指の感触にひどく敏感になった。
それを見逃さんかったんか、背中を自由に上下していた物が指の腹から爪に変わる。
ピリッと痛みに近い刺激が走り、グッと体を倒してきた航生くんの舌が爪の痕を追った。
舌のザラザラと熱さが心地いい......
航生くんの爪で傷を付けられてる事が嬉しい......
「すいません...いっぱい背中に痕つけちゃいました......」
「......そうなん? ええよ、別に...撮影あるわけやないし、服着てたら...わかれへんやろ?」
「これだけあったら...人前で服...脱げないですよね...俺以外には体見せられませんよね」
その言葉に、またゾクゾクと快感が体を駆け抜けた。
まるで独占欲を露にしたような物言い。
俺の体を見ていいのは自分だけやとでも言ってるみたい......
航生くんにそんなつもりはないってわかってる。
せえけど、こうして好きな相手と肌を合わせてる上に『俺のモン』とでも言いたげな所有の証なんか付けられるなんて、興奮せえへん方がおかしい。
もっとして。
もっと俺を航生くんのモンにして......
背中の爪痕を舌でずっと舐めてる航生くんに向けて、ちょっとだけ首を上げた。
「背中だけや足りへん...爪の引っ掻き傷だけや足りへん...そんなん、見られるくらい平気やで。ここも吸うて、噛んで...誰にも見せられへんように......」
なんて事を言うてしもうてんねんとも思う。
でももう、体のどこもかしこも性感帯なんちゃうの?ってくらい興奮してしもうて、どんどんわけがわからんようになる。
俺の願いを叶える為か、それとも航生くんにも俺の興奮が伝わったんか、熱い唇がうなじにチュウと吸い付いてきた。
かなり強めにジュッと吸い上げられ、そこにグッと歯が立てられる。
......付いてる...俺のうなじに...航生くんの残してくれた痕が......
それだけでイッてまうんちゃうかってくらい全身に震えが走った。
唇を離した航生くんの動きが一瞬固まったから、たぶん自分が思ってたよりもずっとくっきりキスマークやら歯形やら付いてるに違いない。
「あ、あの...シンさんごめんなさい...その...首......」
「そんなん、どうでもええから! 早く...航生くん、早よちょうだい...奥まで...奥まできて......」
はしたないくらいに必死の懇願。
航生くんに所有の印を付けてもうた今、体の全部を航生くんのモンにして欲しかった。
奥の奥まで犯して、穿って、壊れるくらいに愛して欲しかった。
たとえ体だけの関係やったとしても、その俺に一瞬向けてくれた独占欲だけで...それだけで俺は一生勘違いしてられる。
それだけで幸せでいられる。
本気でそう思えた。
航生くん、好き...声も顔も体も、真面目な所も不器用な所も、でもただ不器用なだけやなくてめっちゃ冷静に俺の体を追い詰めていく所も...全部好き。
「航生くん......」
「......俺も結構限界です。ちょっと奥までいきますから、力抜いててくださいね」
全身の感度が異様に上がってる今、体の力なんか抜けるわけがない。
てか、なんかもう自分でコントロールなんか全然できへんようになってた。
俺の腹に腕を回して元の四つん這いの体勢へと戻させる航生くん。
膝を少し閉じられ、さっきよりもさらに腰が高く上がる。
その腰をしっかりと支えると、航生くんは俺達を繋いでる場所にグッと強く力を込めてきた。
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