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悋気は恋慕に火を灯す【52】

ゆっくりと入ってきた航生くんのチンチンは、ようやく奥を目指す気になったらしい。 まだかなり硬くて狭い道を更にジワジワと押し開いていく。 「辛くないですか?」 さっきは『もう限界』とかなんとか言うてたくせに、まだ俺の方を心配するように声をかけてきて、背中から脇腹までをそっと撫でる。 今度は指先や爪やなく、手のひら全体でマッサージでもするみたいに。 航生くんは、よっぽど俺の背中から腰のラインが好きなんやろうか...飽きる様子もなく、いつまでもずっと撫でてくれてる。 その手の感触が、なんかめっちゃイイ...... あのゴツい頭が完全に俺の中に入り込んだ瞬間は、確かに結構辛かった。 体にもかなり力が入ったし、変な汗もかいてたと思う。 そんな体を航生くんの手が優しいに撫でてくれたら、なんかそれだけでフワッて力が抜けていった。 汗もひいたし、ちょっとずつ息も整ってくる。 それと同時に、俺の中でじーっと動きもせんと留まったまんまの航生くんのんが少し心配になってきた。 限界とか言うてたわりに余裕で俺の体撫でまくってるし、もしかしてちょっと萎えたか飽きたかしてきてんちゃうやろうか? ......いやまあ、俺の中のモンに萎えてる気配は全然無いんやけど。 僅かに顔を上げて、そっと航生くんの様子を窺ってみる。 俺の体を見つめる航生くんの顔はめちゃめちゃ真剣で、眉間には深い皺まで入ってた。 額にはうっすらと汗が光り、喉仏が何回も大きく上下してる。 ......もしかして...必死に動くん我慢して...る? 俺、ガンガン来てもエエって言うたのに...メチャクチャにしてもかめへんて言うたのに。 俺の体に変に力が入ったから? ちょっと苦しそうにシーツとか掴んでたから? そら、あんだけ大きい航生くんのチンチン入れるんやもん、なんぼ慣れてても最初はどうしてもしんどいって。 せえけどそんなん、最初だけやで? あとは思う通りに動いたら、俺の体は勝手に快感を拾うていくよ? それこそ航生くんとは場数が違うんやもん。 そんな俺やのに、こうやってゆっくりゆっくり、優しく丁寧にリラックスさせようとしてくれる航生くんの気持ちが嬉しい。 でもな...もうぼちぼち航生くんも気持ち良うなろうか? 俺は航生くんにもわかるように自分でユラユラ腰を動かした。 「もう大丈夫。航生くん、動いて?」 「あ、いや...でも......」 「わかれへん? 航生くんがずっと体撫でてくれてたお陰で、もうそないキュウキュウ力入ってへんやろ? ちゃんと動かせるはずやで」 奥に先端を誘うみたいにケツを前後に振ってみる。 たったそれだけで体の中の存在を改めてハッキリと感じてしまい、変な声が漏れそうになった。 そんなん聞かせたくなくて、慌ててまた枕に顔を伏せる。 脇を撫でてた航生くんの手が腰をしっかりと掴み、ググッと繋がった所に力を入れてきた。 さすがにもう途中で止めるつもりは無いらしく、ブチュッて穴から溢れるローションの湿った音と共に一気に奥に進んでくる。 ......やっぱデカイ... 長さはともかく、このサイズの亀頭とこの硬さは初めてかも。 まだ大きさに馴染んでもないはずの俺の粘膜は、それでもそれを喜ぶように航生くんのにきつくまとわりついた。 その事で改めて形と大きさと硬さを実感する。 どこまで入ってくるんやろう? それが不安に思えるほど、大きな熱はまだまだ奥へと入り込んでくる。 硬く反り返った先端に今まで経験した事無い角度で内側を擦られ、俺はまた必死にシーツを握りしめていた。 ドンといきなり強い衝撃を受け、思わず体が前にのめる。 ケツにサワサワって毛ぇが当たってこしょばい...... あ、そうか...ようやく根元まで入ってんな。 航生くんはそこでもまた少しだけ動きを止め、俺の体をそーっと撫でた。 俺は次の動きを促そうとまたちょっとだけ腰を揺らしてみる。 大丈夫やでって。 俺も求めてるんやでって。 それがわかったんか、後ろから一回大きく『フーッ』て息を吐くんが聞こえた。 「動きますね......」 スッと声のトーンが落ちる。 低くてよく通るその声が、航生くんの覚悟っていうか本気みたいなもんを感じさせた。 ......あ、今度こそ...くる... 構えてもうたら、航生くんはまた動きを止めるやろう。 これ以上航生くんに我慢させたない。 ......違う...ほんまは俺がとっくに我慢できへんようになってるだけ... 俺はできるだけ無駄な力を抜いて受け止める準備をする。 前にビデオで、航生くんの下手くそでメチャクチャなピストンは見た。 今までこんなチンチンで突かれた事は無いけど、あの動きやったらこっちが上手い事リズム合わせさえしたら、どうにか二人とも感じる事はできるはず。 ......なんて考えてた俺が甘かった。 奥にしばらく留まっていた頭が何度かそこを緩かに捏ねたと思った瞬間、一気にズルズルと入り口付近まで出ていく。 これがもう...ありえれんくらいの衝撃。 ガチガチに膨らんだカリ首が、まとわりついてる粘膜を全部引き摺り出すかと思うた。 それこそ大げさやなく、内臓ごと。 釣り針の返しみたいになったそこは簡単に抜け落ちる事はなく、今度はその思いきり伸ばされた粘膜をズブズブと奥へと押し戻される。 さっきみたいにゆっくりと、俺を労るように入ってきた時とは全然違う。 ちょっとだけ体を倒して、俺の腹側を強く擦る事を意識したような角度が付けられ、遠慮なくそこを潰す勢いで突き上げられた。 途端に体がグンて情けないくらいに跳ね、腿の内側がピクピク痙攣する。 そんな反応に気を良くしたのか、それとも自分の動きに自信でも持ったか...もう振り返る余裕もない俺の背後で航生くんがクスッて笑ったような気がした。

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